芸術の街バンドンで芸術に触れる おすすめスポットのご紹介
アートの街、芸術の街バンドンといわれ、またわたし自身ことあるごとにアピールしているのに、バンドンに移り住んで以来芸術に触れる機会はほとんどありませんでした。
ジャカルタで20年来の知人と話していたときのことです。彼女はバンドンにあるキリスト教系の名門パラヒャンガン大学出身の弁護士で、バンドンで行くべき場所として芸術スポットを紹介されました。
そして行ってみて、やっぱり芸術に触れるのは心の栄養になるなと心底思いました。美しいものを見て感動するというのは、人間になくてはならない活動なのでしょう。
ということで、今回はバンドンの芸術スポットのご紹介になります。
❒ Selasar Sunaryo Art Space
スナリヨ氏の展示場とギャラリーでカフェも併設されています。
スナリヨ氏は7人兄弟の2番目として1943年に生まれ、1962年にバンドン工科大学で学びます。1969年に卒業後は海外を遊学しました。
彫刻科を出たので彫刻からスタートし、油絵も描いています。
そして、驚くことに80歳をこえた今でも絵をかいていて、ちょうど製作途中の絵を見ることができました。縦2m、横5mほどの超大作です。
写真はとっていいけどSNSに載せてはいけないと言われましたので、申し訳ありませんが写真はなしです。線とか模様が書いてある抽象画です。
❒ Wot Batu
Wot Batuとは石の橋という意味。スナリヨ氏の作品のうち、石の作品を集めた場所です。
規模はSunaryo Art Spaceより小さいですが、わたしはこっちのほうが好みです。
ギランという名の若いガイドが流暢な英語でいろいろ説明してくれました。
スナリヨ氏が石の彫刻で表したいのは「つながり」で、平たい石は人間同士の、石柱のような縦型の石は人と神とのつながりをイメージしているとのこと。Wotという言葉はブリッジという意味だそうです。
どれが気に入ったかと聞かれ、「あの池の静けさと石の造形物が好きだ」というと、あれはスナリヨ氏がこだわって池の水面を鏡のようにしたがった場所なんだと教えてくれました。
そして、「あの作品は見る人の心を表すのだが、何を思ったか」と聞かれ、「うーん、心静かに落ち着くなと思った」といまいちな返答をしてしまいました。
本当に不動の石や池の水面につられるのか、揺れ動く心がぴたっと鎮まる感じなんです。まさに明鏡止水。
本当は心がぴたった止まったところから、じわじわと心模様が現れてくるのだと思います。わたしはせっかちなので、途中で思索を止めてしまったわけですね。
ウェルカムドリンクをいただけるので、ぜひ素敵なカフェにもお寄りください。わたしは気に入った石がデザインされたTシャツ(20万ルピア:2000円)買ってしまいました。
❒ NuArt彫刻公園(NuArt Sculpture Park)
インドネシアを代表する彫像を数多く手がけた芸術家ニョマン・ヌアルタ(Nyoman Nuarta)氏によって作られた展示場です。
4ヘクタールもある広大な公園に、多くの彫像が並んでいます。
ニョマン氏は1951年に9人兄弟の6番目としてバリに生まれ、1972年にバンドン工科大学芸術学部に入学しました。卒業は1979年ですが、在学中にインドネシアニューアートムーブメントに参加、次々と賞を受賞し頭角を現します。
代表的な作品は、ジャカルタにあるチャリオット。
バリのガルーダ像
わたしはこの方の作品は分かりやすいためとても好きです。
現代アート、例えばピカソのキュビズムのような分かりにくさはありません。
彼の作品の特徴は、芸術素人の意見で申し訳ありませんが、動かない鉄の像に動きを与えたり、時の経過を加えるようなデザインにあります。
二つ上のチャリオットの像の画像を見てもらうと分かると思いますが、残像を残すことで疾走感を表そうとしています。
他にもこんなのがあります。
一方でわたしが時の経過を表しているように見えるというのはこんな像です。
砂上の楼閣のような、少しずつ崩れていっているイメージとか
時間の経過とともに形を変えていくイメージとかです。
鉄という変化の少ない永続性のある素材を使いながら動きを与えるというのは難しいと思います。
半日かけてもいい場所だと思います。素敵なカフェで作品に囲まれゆったりとした時間を過ごすのもおススメです。
❒ バンドン工科大学のキャンパス
インドネシアの芸術系の学校として最古にして最難関、インドネシアを代表するあまたの芸術家を輩出してきたのがバンドン工科大学芸術学部です。
理工系の大学にどうして芸術学部ができたのか背景は分かりませんが、建築や都市開発と接点も多く、今更ながらよく考えられていると思います。
インドネシアの新首都ヌサンタラの大統領宮殿をデザインしたのは、前述の彫像家ニョマン氏なのです。
鉄の彫像家らしく、鉄の経年変化を見越した100年建築を目指しています。
話を芸術学部に戻しますと、この学部の建物にはほぼ閉まっているギャラリーがあり、たまに展示会が開かれます。
それ以外に、通路にさりげなくおいてある彫像、学部建物内で製作に励む芸術家の卵たちが、芸術の香りを周囲に漂わせてくれています。
実際、建物に近づくと、油絵特有のテレピンの香りが漂い、美術学校に来たという気持ちになります。
この建物の他に、芸術村のような場所がキャンパス横のグラウンド近くにあり、そこにも小さなギャラリーがあります。
わたしはジムへの行きかえりに立ち寄ることがあります。
以上となります。
街中にある小さなギャラリーや、交差点に置かれているニョマン氏が作成した彫像も入れればもう少し増えますが、まずはこの4つを訪問されるのがいかがでしょうか。
バンドン工科大学のキャンパス地図
以上となります。
バンドンに遊びに来た際はぜひお立ち寄りください。