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体力限界OL山頂のビーチ日向山へリフレッシュ

「初心者におすすめの山ありますか?」
長野にあるずっと行きたくて憧れていた登山用品店に訪れた時、念願のサンダルを手に入れた浮き足だった気持ちに任せて初対面の店長に聞いた。初心者向けの山で調べると大体、高尾山や御嶽山、金時山などが出てきて登ってしまったのだ。
山に飢えている私を見て店長は微笑みながら「日向山ですね。あそこはいいですよ。特に初心者の人には」と即答した。

日向山。ひなたやま。
心の中でつぶやいてみる。
響きが柔らかで暖かい。それだけで登れそうな気がして、いつかは絶対登るぞと決め店長に向かって頷いた。なんでも砂浜があって、登りやすいにも関わらず普通の山とは違った景色が楽しめるらしい。


そして翌る日の朝。2:30に起床し、未明に旅立つ。
朝なんて時間じゃない。でもこの時期の登山口の駐車場は混むと聞き、念には念をこめて早めの出発。夜明けの気配すらなく、酔っ払いが梯子する店を探すために楽しそうに歩いている脇を通りレンタルカーへと向かう。

早すぎるかとも思ったが駐車場に着いた午前6時ごろにはもうほとんど車で埋まっていた。さすがハイシーズン。去年の冬から登山を始めたこともあり初めてハイシーズンの混みようを見て驚く。

日向山は駐車場から登山口までが長く、最も急登だと言われている。靴紐を結び直し、いざ登山口へ。
なるほど。足を踏み切れてさっそく納得する。
これは急登だ、と。

序盤から急な斜面

なぜこれが登山口ではないのか解せない。
いや、日向山の登山口ではないだけで確実に麓を登っている。

息を切らしながら一歩一歩進める。
まだスタートにも立ててないんだぞ、と言い聞かせながら。スピードを上げすぎないように気をつける。
途中、道迷いにあったりコンクリート舗装の道に出てやっと登山口に到着したと勘違いしてぬか喜びしたり色々あったが50分かけてようやく登山口に到着した。

やっと見えた看板

熊の看板を見るたびに気が引き締まる。
その瞬間、うわーーーんと子供の泣く声が聞こえ、気が緩んだ。どうやら初心者におすすめというのは本当らしく(疑っていたわけではないが)子供の声がたくさん聞こえた。

いかんいかん、山では油断は禁物。
改めて登山口に立ったことを自覚して山頂を目指す。

登山口までの急登が嘘のように緩やかな登山道だった。ただここから新た苦行がはじまる。それはなんといってもそう「トイレがない恐怖」である。山にトイレがあること自体恵まれており感謝すべきことだが、日向山は山小屋もなく山頂にもトイレがない。
胃と腸が弱く、毎朝決まった時間にトイレに行く私には何よりの恐怖だった。そのこともあり、あまり水分を取らずにいたせいか、標高1500m付近で頭痛と吐き気に苛まれる。

もう無理かも。
と呼吸が浅くなっていく瞬間、足元で踏んでいた土の感触が変わる。ふかふかと柔らかい。足元を見ると、茶色の固まった土から白い砂のような粒子の土に変わっていた。
視線を遠くに飛ばせば、開けた場所が見える。山頂だ。苦しかった呼吸はいつのまにか楽になり、棒のように疲労していた足はスピードを早め山頂へと歩みを進める。

木々の隙間を縫って山頂に出ると絶景が待っていた。

山頂の景色

山の上のはずなのに、青い空の白い砂に迎えいれられまるでビーチにいるような錯覚を起こした。でも目前に広がるのは海ではなく山と街の景色。

すごい。ため息混じりと共に出た言葉は、心から湧き出たものだった。山にいると嘘をつけない。つく余裕もなく心で感じなものが素直に声となって出てしまうのだ。
その時お腹がグゥとなった。嘘をつかないのは腹の虫もらしい。


スープカレー

今日のお昼は北海道のお土産で買ってきたスープカレー。標高もそこそこあるせいか、作っている途中でどんどん身体が冷えていく。あったかいスープカレーがこれでもかってぐらいに身に染みた。

山の上のカレーってなんでこんなおいしいんだろう。
カレー嫌いのわたしですらペロっと平らげてしまう。


逆さまであることを指摘してもらえなかった

食べるものも食べ、景色という景色を堪能してあとは下山。

日向山はたしかに初心者でも登りやすく、山頂の景色は普段の登山と違った感動を味わえる素敵な山だった。

| 番外編

帰り際、韮崎市で寄ったイタリアンがこれまた絶品だった。カレー食べてたのにって?登山した日は何食べたってゼロカロリーなんだという持論があるので、デザートまでしっかり平らげた。

ぜひ日向山に行った際は、こちらにも立ち寄って欲しい。

生ハムレモンクリームパスタが絶品



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