ピラティスの魅力を伝えたい② 呼吸
まずピラティスのパワーハウスの源である、呼吸のことからお伝えしたい。
本来ピラティスは、生活のすべての面に統合されるようにデザインされたシステムでコントロロジーと呼ばれおり、ピラティスの基本原則は、呼吸、集中、センター、コントロール、正確性、フローの6つ。中でも「呼吸」はとても大切な位置を占める。
日々、何気なくしている呼吸。自然にしている呼吸。
ピラティスを学ぶまでは、呼吸が健康に影響することに思いもかけなかった。けれども、ただ呼吸を意識するだけで健やかな方に身体を持っていくことができる。
ピラティスでは、この効果を最大限に用いて健康に寄与していると同時に、ピラティスを行う際のエンジンの役割も担う。けれども、呼吸機能が十分に使えていない場合、ピラティスをうまく起動させることができず、エクササイズの効果も減ってしまう。
まず、ピラティスを行う前に、呼吸が肺全体に行き届いているか見直してみることはとても大切です。
ピラティスの望ましい呼吸法は胸式呼吸で、腹筋を弛緩させて腹部を外側に押し出す腹式呼吸とは逆。それは、息を吸う時も吐く時も、ピラティスに欠かせないインナーマッスルを使って、腹筋を絶えず内側に引きつけてコアを安定させるため。腹筋を引き締めたまま、胸郭を外側へ拡張することに集中する。
呼吸が浅い場合は、肋骨はほとんど動かないが、肺に酸素を取り込む意識を持ち、深く吸うと、肋骨が前後左右に広がる。吐くときには肋骨が中心に寄せられる。その感覚があれば、腹部中心にも力が入る。これがインナーマッスルを使う感覚、コアを起動させている状態だ。
わたしの場合、肋骨を締めてコアを起動することは得意なのだが、息を吸うときに背中側に空気が入りにくい、つまり肋骨が後ろに膨らみにくいと指摘を受けた。前後左右の肋骨を触りながら呼吸をすると分かる。呼吸をして肋骨が動いているかどうか。
また、仰向けで肋骨が開きがちな人は、ハンモック状の横隔膜が動かないので、吸気が腹部や胸腔にも十分に取り込めず、肩や首周りで呼吸をすることになってしまう。
それでは、肋骨開閉の可動域を広げるには?
肺は、心臓にある心筋のように、自力で膨らんだり縮んだりすることができないため、呼吸筋を使って広げたり縮ませたりさせている。つまり、呼吸筋が衰えていたり、硬くなっていたりするとうまく空気を肺全体に取り込めないのだ。
まず、ピラティスを始める前に行いたいのが、吸う息が肺全体に届いているか見直してみること。そして、行き届きやすくするために、呼吸筋のストレッチ、リリースを行う。具体的には、首を動かしたり、僧帽筋を伸ばしたりほぐすため、肩甲骨回りを動かすストレッチを行うことだ。吸う息が行き届きやすくなり、その分吐く息も深まる。これではじめて、吐く息で使われる腹横筋、腹直筋、腹斜筋というインナーマッスルに効かせることができる。
この状態でピラティスを始めると、効果がより深まるのだ。
〈参考文献〉
『プロフェッショナル ピラーティス』 アラン・ハードマン
『ピラーティス アナトミイ コアの安定とバランスのための本質と実践』 ラエル・イサコウィッツ カレン・クリッピンジャー
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