職業としての政治 マックスウェーバー
今年はマックスウェーバーの没後100年になります。このため、中公新書と岩波新書からマックスウェーバーについての新書が5月出版されました。
マックスウェーバーの著作に「職業としての政治」という本があります。これは政治を語ったものですが、そのまま、「職業としてのビジネス」としてもいい内容です(脇 圭平訳、岩波文庫2016年8月4日 第56刷発行)。
この本は、1919年1月、ミュンヘンのある学生団体(自由学生同盟)のために行った公開講演を纏めたものです。時は第一次世界大戦におけるドイツが敗戦し、ドイツ全土が混沌としていた時の講演です。
「政治とは、情熱と判断力の2つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくりぬいていく作業である。もしこの世の中で不可能事を目指して粘り強くアタックしないようではおよそ可能なことの達成も覚束ないとうのは、まったく正しい」
この「政治」を「ビジネス」あるいは「新規事業」と置き換えてみてはどうでしょうか。ビジネス・新規事業には情熱が必要だ、と言えるでしょう。
「人はどんな希望の挫折にもめげない堅い意志でいますぐ武装する必要がある。そうでないと、いま、可能なことの貫徹もできないであろう」
堅い意志、これは政治だけでなくビジネスでも必要不可欠なものですね。
「自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が、自分の立場からみて、どんなに愚かであり卑俗であっても断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る人間。そういう人間だけが政治への『天職』をもつ」
ビジネスの世界では、現実の世の中に合わせていく必要がある場面がありますが、新規ビジネスを立ち上げる場合には、むしろ現実の世の中を変えていこうという断じて挫けない意志を持つことが推進力になります。
困難な時に直面しても、「それにもかかわらず」という堅い意志と情熱を持ちたいものです。