【BL二次小説(R18)】 想い出をください②
「靖友!」
廊下で靖友を呼び止める。
「ナニ」
ドキン!
振り向いた靖友の顔を見て胸が跳ねる。
「ナニって……」
なぜかしどろもどろになるオレ。
「……」
「……」
オレは真っ赤になっているが、靖友は不機嫌そうにオレを睨んでいる。
「用がねェなら呼び止めンな」
靖友はプイッと踵を返し、行ってしまった。
え……。
なに、プイッって……。
てか、何もないのか?
ゆうべのことについて!
あれは、何だったんだよ!
そうだよ!
オレはそれを聞きたいんだよ!
しかし靖友の姿はもう見えない……。
「……」
授業なんか全く頭に入らない。
そりゃそうだ。
ゆうべあんなショッキングな事があったんだから。
……。
── ハァ、ハァ ──
靖友の荒い息遣い……。
靖友の悩ましい喘ぎ声……。
靖友の激しい腰使い……。
靖友の汗の匂い……。
靖友の引き締まった太もも……。
そして……。
靖友の熱い蕾の中……!
「はっ!」
やべ!
勃ってる勃ってる!
授業中なのに!
オレは慌てて股の上にノートを被せた。
「よし!じゃあ次ローラー2セット!」
泉田が部員にオーダーを出している。
少しずつ主将っぽくなってきてるじゃないか。
この時期、オレ達3年生は部室に顔は出すが、もうほとんど2年生に任せている。
今年度の試合はもう無いし、受験勉強に専念しなきゃならないからだ。
「荒北さーん」
真波が靖友に背後から抱き付いた。
……イラッ。
気安くベタベタしやがって。
まったくアイツのぶりっ子(死語)はなんとかならないものか。
……ん?
何をイライラしてるんだオレは。
真波が靖友に抱き付くのはいつものことじゃないか。
ボカッ!
「急に抱き付くンじゃねェ!英単語忘れちまうじゃねーか!」
「うわーん!荒北さんがガチで怒ったー!」
靖友、朝からずっと機嫌悪いな……。
「まぁまぁ荒北さん、これでも飲んで落ち着いて下さいよ」
黒田がヘコヘコしながら靖友にベプシを持ってくる。
……黒田。
コイツも靖友の傍をいつもチョロチョロしてウザいな……。
オレの靖友のご機嫌とりか……。
……オレの?
ガシャーン!
「ぬるーイ!」
「ひーっ!さーせーん!!」
どいつもこいつも靖友に寄って来やがって……。
靖友も靖友だ。
なんでそんなに男に人気あるんだ。
……はっ!
まさか……。
まさか靖友……。
オレ以外の男ともゆうべみたいに ──?
オレの額からドッと冷や汗が流れ落ちる。
心臓はバクバク言っている。
靖友……。
靖友、靖友、靖友。
オレは、おめさんにとって多数のセフレの内の一人なのかい?
そんな……。
そんなの嫌だ。
絶対嫌だ。
……いやいや!
そんなわけあるか!
靖友がそんな……。
いや、でも……。
ああ……オレは、いったいどうしちまったんだ。
靖友のことで頭がいっぱいだ!
だって……だっておめさんは、オレの初めての……!!