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ロエベ

東の空から燃える尾を引いて
三つ星が落ちて来た

私は暗い深い闇の中に
指の一本も動かせずに立ち尽くしている
体は動かないのに
不思議と窮屈さや不自由さは感じなかった
ただ最初からそう在るべきなのだと言わんばかりに
背筋がしゃんと伸びて
顔はしっかりと空を見上げていた

紫、ピンク、青、白
明るい癖にやけにパステルな淡い色合いの三つの星は
ゆっくりとこちらに向かって落ちてくる
大きさはハムスターぐらい
掌にすっぽりと収まりそう
周りに満ちている暗い闇のせいなのか
星にしてはファンシーな色合いのせいなのか
触れたら暖かそうだと
そう漠然と思った

やがて三つの星は静かに
その形がはっきりと分かるくらい近くまで来た
空から来るなら星型なのだろうと
勝手に想像していたが
近くで見た星は存外歪な形で
河原の石ころみたいに角は無く
表面はツルツルだった
きっと落ちてくる間に
熱でゆっくりと溶けたのだろう
傷一つないそれは
ゆっくりと、本当にゆっくりと
時間をかけて私目掛けて落ちて来た

一つ目の星が
左のまつ毛に触れた
その感触が伝わると同時に
私はあの日の事を思い出した


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先日見た夢のお話

次は一つ目の星

続きます

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