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短編作品

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短歌から短編小説までの短めのお話をまとめました。
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#短編小説

掌編小説|桜月夜に詠む歌は

掌編小説|桜月夜に詠む歌は

 しとしとと降り続く花時の雨が漸く止んだのは、おみつの恋が破れた日だった。
 否、想いは確かに通じ合っていたのだが、拒まれたのだ。添うことを。

「約束したやいか……」

 おみつも忠行も、元々神崎家の家臣団のひとつである千馬家の人間で、血の繋がらない幼馴染だ。
 どれだけ長く離れていても、二人の間には深い絆があった。

「ずっと……ずっと待ちよったに……」

 雲の切れ目から顔を出した月が、おみ

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ショートショート|死神のカルマ

ショートショート|死神のカルマ

 世界はいつだって噛み合わない。
 先ほど何度目かの自殺に失敗した男が、今朝の朝刊の『XX902便墜落』の文字を見て嘆いていた。

 話によるとこの男、昨日この便に乗るはずだったのだとか。

「どうしてこの世は死にたがりばかりが生き残る運命なんだろうか」
「さぁなぁ……」

 新聞を広げ朝食を摂っていたオレは、新聞の題字のすぐ下にある〝今日の死亡者見込み数〟の欄に目を通しながら冷めた珈琲を飲み干し

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BL/短編小説|赤い片道切符

BL/短編小説|赤い片道切符

 夏が始まる。
 梅雨も明け、連日蒸し暑い日が続いていた。
 からりと晴れてくれればいいものの、湿った空気は朝から晩まで身体にまとわりつく。

 ある夜、どうにも寝苦しくて目を覚ました。
 今が一体何時なのか、時間の確認すらままならない暗闇の中、家族を起こさぬよう布団から這い出て台所で水を飲んでいると、玄関のすりガラスの向こうに男の人影があることに気付いた。

(……来たのか)

 男の顔など見な

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BL/ショートショート|遊園地

BL/ショートショート|遊園地

 パンダの中には誰がいる?

 とりわけ可愛い仕草でやってきた大きな着ぐるみから風船を受け取りながら、和泉は夢のないことを考えていた。

「世界一可愛い仕草のぬいぐるみが僕だ。当てられたら付き合ってやる」
 三日前、和泉の人生最大の勇気を振り絞った告白に対する返事がこれだ。

「おい」

 首を傾げたパンダに問う。

「これはお前の返事か?」

 和泉が手渡されたハート型の風船を揺らすと、目の前の

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ショートショート|変わり葬儀屋

ショートショート|変わり葬儀屋

 一切の広告活動も行わず、これほどの集客を取るのだから、口コミとは恐ろしいものである。
 小さな雑居ビルの三階にある、小さな事務所入口には、朝の七時だというのにすでに五人もの人が並んでいた。皆、マスク姿に帽子に眼鏡、慎重な者は手袋まではめている。よほど身元が割れることを恐れているのだろう。
 並んでいる人間は、どれだけ待たされようが文句を言うものは一人もいない。ただ自分の番が来るのを静かに待ってい

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