ショートショート|変わり葬儀屋
一切の広告活動も行わず、これほどの集客を取るのだから、口コミとは恐ろしいものである。
小さな雑居ビルの三階にある、小さな事務所入口には、朝の七時だというのにすでに五人もの人が並んでいた。皆、マスク姿に帽子に眼鏡、慎重な者は手袋まではめている。よほど身元が割れることを恐れているのだろう。
並んでいる人間は、どれだけ待たされようが文句を言うものは一人もいない。ただ自分の番が来るのを静かに待っているのだ。
事務所の扉が開き、黒のスーツ姿の男が一番前に並んでいた男に声をかけた