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【映画評詩】「箱の中」
小さな箱
ダンボールの箱
その中ですべてこと足りる
そんなものが
ぼくと
外の世界を隔絶しぼくはそこに安寧の世界を
築くのだ
ぼくはそこからは出ない
ぼくは外から侵されない
その狭いせまい空間が
ぼくを守り
ぼくを生かしてくれるなら
その箱は最高の世界だ
見まわしてごらんよ
そんな箱の中で生きている「人」が
ぼく あなた
彼 彼女 それ以外の人たち
案外にたくさん
箱の中で生きてるんだ
きっと 必ずいる
箱の中にいる「人」を特別視しちゃいけない
「今の時代」
特別視は――
それだけで問題なんだ
ぼくが
あなたが
彼が彼女が
それ以外の人たちが
箱の中で息をして
箱の中で生きているっていったって
箱の中を覗き込むとか
そこから引きずりだそうとか
箱をぶち壊そうとか――
そんなことはしちゃいけない
箱の中にいる人も
箱そのものも
無視するのだ
そんなもの
最初からなかったんだよ