マガジンのカバー画像

ごはん映画

70
映画に出てくる食べ物が大好きです。そんな「ごはん映画」について書いた記事をまとめています。
運営しているクリエイター

#note映画部

映画に出てくる食事はおもしろい

映画に出てくる食べ物が好きで「ごはん映画」として集めています。 収集するのは、食をテーマにしている映画だけではなく、1カットだけ食事や飲み物が登場する作品も対象にしています。そのような収集範囲にしていると、映画を観るときは登場人物たちが何を作っているのか、何を食べて飲んでいるのか、とても気になってしまいます。 逆に全く食べ物が登場しない映画もあります。それはそれでおもしろくて、作り手にとってその作品での、 ・「食」の重要度 ・「食」が担う役割 ・「食」で表現したいこと(逆

大胆で繊細なラブストーリー|『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』

2022年4月8日に公開された『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』というフランス映画を一足早く、オンライン試写で鑑賞させていただいていました。 第93回アカデミー賞国際長編映画賞にフランス代表作として出品された作品で、高齢女性たちの愛をサスペンスフルに描いたドラマです。 南仏モンペリエに建つ眺めの良いアパルトマンの最上階。向かい合う部屋を行き来するニナとマドレーヌは世間的には仲の良い隣人ですが、実際は長年愛し合う恋人同士でした。 2人は部屋を売ったお金でローマへ移住する計画を

少女の繊細な成長物語|台湾映画『アメリカン・ガール』

台湾映画『アメリカン・ガール』を鑑賞しました。 2021年の第34回東京国際映画祭で上映された作品で、現在はNetflixで鑑賞することができます。 この noteでも、台湾映画『瀑布』や香港映画『花椒の味』などをメモしていますが、本作『アメリカン・ガール』を鑑賞して、やっぱりわたしはアジア映画の雰囲気がとても好きなんだなと、改めて感じます。 映像から伝わる温度というか湿度みたいな、アジア特有の水分を含んだ空気感が好きなのかもしれません。 『アメリカン・ガール』のストーリ

アメリカのドーナツ史は面白い!|『ドーナツキング』

昨年、見逃して心残りだったドキュメンタリー映画『ドーナツキング』をU-NEXTで鑑賞しました。 アメリカで「ドーナツ王」と呼ばれるカンボジア人男性テッド・ノイの人生に迫ったドキュメンタリーです。この作品を観れば、アメリカのドーナツ史はもちろん、カンボジアの戦争と移民大国であるアメリカの歴史を知ることができます。(製作総指揮がリドリー・スコットなのがすごい) みんな大好きドーナツですが、やはりアメリカの“ドーナツ好き度”は世界一かもしれません。パンフレットによると、アメリカ

『ガンパウダー・ミルクシェイク』を観て、ミルクシェイクを飲みに行こう!

3/18公開『ガンパウダー・ミルクシェイク』を早速、観に行きました!食べ物がタイトルにも冠される作品なのでメモしようと思います。 本国版の予告をネットで何度か観ており、とても気になっていた作品でした。まずタイトルがいい!ネオンカラーのデザインも可愛い! 分かりやすいストーリー展開でとにかくアクションが楽しい作品でした。主人公の恋愛要素がないのも良かったです。 本作を鑑賞した後、「これはめちゃくちゃ映画大好きな人が作ったアクション映画だなぁ〜」という感想を持ちましたが、ナ

一緒なら強くなれる!|『ボブという名の猫2 幸せのギフト』のクリスマスディナー

「ビッグイシュー」を毎月購入しています。 わたしの住んでいる路線には各駅に販売員さんがおり、会社へ出社している頃は直接購入していましたが、いまはリモート勤務になったのでオンラインで購入しています。 「ビッグイシュー」は、ホームレス状態の人に雑誌販売という仕事を提供し自立を応援する社会的企業で、イギリスで発祥した雑誌です。 「社会的自立を応援する」という理念に賛同して購入していますが、何より雑誌の内容が面白いです。たくさんのハリウッドスターが表紙を飾っており、映画好きならイン

2022年1月に観た映画と、登場するごはんについて(おうち鑑賞編)

noteでは映画に登場するごはんついての記事を書いています。ごはん映画記事をまとめているマガジンはこちら。 前回は1月に劇場で鑑賞した作品についてメモしたので、今日はおうちで鑑賞した作品について書こうと思います🎬 ▼1月におうちで観た映画 お正月はマトリックス3部作をしっかり復習。新作『マトリックス レザレクションズ』の短い感想はこちらに書きました。 『逃げた女』 ホン・サンス監督の『逃げた女』は食事シーンが多く、noteを書きたいなと思っていた作品でした。 5年の

2022年1月に観た映画と、登場するごはんについて(劇場編)

noteでは映画に登場するごはんついての記事を書いています。ごはん映画記事をまとめているマガジンはこちら。 本当は鑑賞した作品すべての感想をしっかり書き留めておきたいところなのですが、ごはんがあまり登場しない映画のメモは後回しにしてました😿 記事にしてない映画もいろいろ観たり読んだりしているので、2022年1月の振り返り日記を書こうと思います。 ▼1月に劇場で観た新作映画 『キングスマン:ファースト・エージェント』 ガイ・リッチー監督の『ジェントルメン』について書いた

時にはケーキがほろ苦い|『ちょっと思い出しただけ』

ふだんあまり邦画を観ていないのですが、気になっていた『ちょっと思い出しただけ』を観に行きました。 池松さん演じる照生の誕生日(7月26日)を軸とし、1年ずつ同じ日をさかのぼって、別れてしまった男女の“終わりから始まり”の6年間を描きます。 観客であるわたしたちが、すでに結末を知っている作品は、なんだか別れるに至った答え合わせをしているような、謎解きのような感覚になりました。よく感想で目にする、エモいというのはこのコトか!と。 わたしはこの二人に共感する箇所はなかったのです

優しい気持ちと英国ごはん|『ゴヤの名画と優しい泥棒』

2022年2月25日に劇場公開される『ゴヤの名画と優しい泥棒』という作品を、一足早くオンライン試写会で鑑賞させてもらいました。 2021年9月に亡くなった「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督作で、本作が長編劇映画の遺作となりました。 1961年に世界屈指の美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーから、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれました。なんとこの事件の犯人はごく普通のタクシー運転手である60歳のケンプトン・バントン。本作はこの実際に起こった名画盗難

インドネシアのごはん映画|『アルナとその好物』

前回、「CROSSCUT ASIA」というオンライン映画祭で鑑賞したシンガポールのごはん映画『ワンタンミー』についての記事を書きました。すごくいい映画だった…! 本日はこの映画祭で鑑賞した、インドネシアのごはん映画『アルナとその好物』についてメモします。 東京国際映画祭の一部門として、2014年から2019年の6年間にわたり、国、監督、テーマなど、さまざまな切り口で東南アジア映画の特集上映を行ってきた「CROSSCUT ASIA」がオンラインで開催。2022年1月21日〜2

シンガポールの食と街の映画『ワンタンミー』とわたしの旅記録

2019年9月、シンガポールへ旅行しました。 キレイで安全な街と、様々なルーツを持つ多民族な人々の暮らし。動物園や植物園などの観光名所も楽しく、写真をたくさん撮りました。場所によってはインドに来たかのようなリトルインディアや、中華系のお店が並ぶチャイナタウンなど、様々な文化が入り混じる素晴らしい国でした。そして食事は全ておいしかったという思い出があります。 そんな個人的にも思い出深い国、シンガポールのごはん映画『ワンタンミー』を鑑賞しました。 東京国際映画祭の一部門として

¥100

キッチンに立つ人には敬意を払うべき|『グレート・インディアン・キッチン』

Twitterで流れてきて、「うわ〜これは観なければならない映画だ!」とビビビと来てたインド映画『グレート・インディアン・キッチン』を鑑賞しました。 インド、ケーララ州北部を舞台に、ある一組の夫婦の姿を通して、インドの中流階級に根強く残る家父長制やミソジミー(女性嫌悪、女性蔑視)を鋭く描いた一作。 本作は配信限定の作品で、(映画祭を除いて)劇場にて一般公開されるのは日本のみだそうです。大手から配信を断れたが、インド本国でも女性観客の支持を得て、口コミで話題と評判が広がり、大

毎日の変わらない朝食が愛おしい映画|『わたしの叔父さん』

2021年に見逃していた作品『わたしの叔父さん』をU-NEXTで鑑賞しました。 デンマークの農村を舞台に、体の不自由な叔父と一緒に家畜の世話をして生きてきた女性に訪れる人生の転機を、時にユーモアを交えながら美しい映像で描いたヒューマンドラマ。 2019年の第32回東京国際映画祭コンペティション部門で、最高賞にあたる東京グランプリを受賞しています。 クリスは幼い頃に家族を亡くし、今は叔父さんと二人で伝統的な農場を切り盛りしながら暮らしています。叔父は脳梗塞の後遺症で体が不自