人を傷つけないお笑い
すでに上島竜兵さんが亡くなって数日たちました。
お笑い好きとしては、どうしても書いておきたくて書きます。
◯人を傷つけない笑いの元祖
“人を傷つけないお笑い“が2年ほど前から登場し、世の中に浸透してきました。
振り返ってみたら、ダチョウ倶楽部さんは、人を傷つけないお笑いの最初だったような気がします。
3人で「ヤー!」とやるのとか「聞いてないよ!」だとか「くるりんぱ」と帽子を被るやつとか。定着させて、もはやレジェンドです。
人を傷つけるお笑いをしている印象が全然ないということは、つまり人を傷つけないお笑いの走りだったのでは?と、今回考えました。
◯画期的なシステム
彼らは、お笑い界の常識を作っています。
例えば、熱湯風呂を目の前に「押すなよ、絶対に押すなよ!」のフリ。
これはもう視聴者には、「これは押せ、絶対に押せ」というフリであることが知られています。
◯◯するな、は、“◯◯してほしい“という意味だと。
そんな今や当たり前の、“それってフリですよね“というシステムを定着させたのもダチョウ倶楽部さんでした。
さらに、「どうぞどうぞ」の流れ。
何かのゲームで「これやりたい人?」の司会者の質問に、次々に皆が「自分がやります」「私やります」「僕やります」と手を挙げ、最後に竜兵さんが「じゃあ僕がやります」と手を挙げると、皆が一斉に「どうぞどうぞ」と譲る、あの一連の流れ。
このシステムを開発したのもダチョウ倶楽部さんでした。
今では、お笑い界の当たり前。
「押すなよ」も「どうぞどうぞ」も様々な芸人さんが使うテンプレートになっています。
◯自分は傷ついていなかったか
人を傷つけないお笑いをしていた代わりに、気になったのは「自分が傷ついていなかったか」という点です。
自虐は一番自分が傷つく。それは以前にも書きました。
『人を傷つけないお笑い』ここで指す“人“は、自分以外の人です。
じゃあ他者を守れば、自分が傷ついてもいいのか?
そんなことないはずです。
ここを議論している人はいませんが、すごく重要なことです。
ダチョウ倶楽部、主に竜兵さんのお笑いは、彼自身が傷ついていなかったか、気になりました。
例えば、男性芸人同士のキスのくだりとか、頻繁にありました。それって傷ついてなかったかな?とか。
あとは、流れで全裸にされてしまう芸だとか。私は見ていて苦しかったです。
本人が心底楽しんでいたのならいいんですが、少しでも自分を擦り減らしてやっていたなら…心が擦り切れる前に悲鳴を上げて欲しかったと思います。きっと優しいから、求められたら全部やってしまったんだろうなぁ。。。
今や、芸人さんも我慢する時代ではありません。嫌なものは嫌。