寝かしつけは一生の宝物
どうして早く寝なくてはいけないの?
お子さんからこう言われた時、
とっさに上手く答えるのはなかなか難しいです。
私の答えは、
「早く寝ると元気に過ごせるから。」
どうして元気に過ごせるの?
その答えを、少し専門知識を混じえてお話しします。
10ヶ月健診でお伝えしていること
10ヶ月健診に来て下さった親御さんに
必ずお伝えしていることがあります。
10ヶ月を過ぎると、
そろそろ赤ちゃんを卒業する時期です。
赤ちゃんと子どもとの大きな違いは、
昼夜のリズムができることです。
昼夜関係なく
おっぱいやミルクを欲しがっていた赤ちゃんが、
夜寝て昼活動するというヒトらしい生活をするようになります。
ですから、
お子さんの一生の中で今一番大切なことは、
夜早めに寝る習慣をつけることです。
寝かしつけは、とても重要なことです・・・・
寝る子は育つ
ヒトの体の中では、
夜と昼で異なる働きが行われています。
成長ホルモンが深夜よく寝ている時に分泌される、
というのはご存知だと思います。
寝る子は育つ、というのは本当なのです。
夜間に多く出るホルモンは、
成長ホルモンだけではありません。
例えば、
おしっこを減らすホルモンの分泌も増えます。
これによって、おねしょがなくなっていきます。
また、
消化管は夜間活動が活発になります。
その活動によって
昼間摂取した食事が分解・吸収され、
栄養が体全体に行き渡ります。
つまり、
夜しっかり寝る習慣がつくことで、
体の大きさも機能も
大人に向かって成長していくのです。
睡眠は心の成長にも大きく関わる
ヒトを車に例えると、
心と体は
エンジンと車体の関係に似ています。
心がエンジンのように
原動力となって体を動かし、
日々の活動をしています。
体のどこかに不調があると、
動かすのによけいなエネルギーを要し、
心に負担がかかります。
例えば、
寝不足で朝だるいと
子どもも保育園や学校に行くのに
がまんをしたり、
気持ちを奮い立たせたりしています。
それが続くと、
心は疲れてしまいます。
心が疲れると、
よく眠れなくなったりして
ゆっくり休めなくなります。
その結果、体はもっと不調になります。
逆に、
生活の中に気になることや不安があっても、
体が元気に動けば活動を続けられます。
活動すれば、体は疲れて休息を求めます。
体が休んでいる間に心も休むことができます。
このように、
心と体は一緒に活動したり休んだりしています。
自律神経の働き
体調の好不調を整え、
元気を保つために働いているのは自律神経です。
自律神経は昼夜のリズムに深く関わっています。
自律神経には、
主に活動中に働く交感神経(こうかんしんけい)
休息中に働く副交感神経(ふくこうかんしんけい)
があります。
日中は交感神経、
夜は副交感神経が主に働き、
睡眠、食事、排泄、運動、成長、免疫など
生きていくための体内活動を
コントロールしています。
疲れすぎたり、
昼夜逆転の生活をしたり、
食事をとらなかったりすると、
自律神経の働きが悪くなり、
体の不調を来します。
自律神経失調症や起立性調節障害と言われる状態です。
基本的生活習慣の獲得がとても大切な理由
自律神経の働きが乱れないようにするには、
日々の生活をなるべく一定のリズムで
過ごすことが大切です。
つまり、
基本的生活習慣を整えることが、
元気に活動したり、
心の安定を保つために役立ちます。
基本的生活習慣とは、
寝る
食べる
排泄する
入浴する
歯磨きする
着替える
など、皆が日常していることです。
朝、登園や登校の前に、
食事をし、歯磨きをし、トイレに行くためには、
少し早く起きなければなりません。
ヒトにはそれぞれ必要な睡眠時間があります。
少し早く起きるためには、
少し早めに寝ないと
基本的生活習慣を続けることはできません。
だから、ヒトは早く寝た方が良いのです。
子どもばかりではありません。
大人も同じように、
基本的生活習慣を毎日同じように繰り返すと
心と体を丈夫に保つことができます。
心の不調を感じたら
不安に思い悩む時
疲労が重なった時
そんな時は、しっかり食べて、
早めに体を休ませることを考えてみてください。
それができれば、
心が折れる心配はありません。
「そろそろ寝るよ」
毎日の声かけは、
お子さんの一生を支える
とても貴重なプレゼントです。