見出し画像

茨城44市町村から大集合!【いばらき居場所づくりサミット2024】開催!!

11月20日は世界こどもの日。World Children’s Day.
国連総会で1959年11月20日に「子どもの権利宣言」が採択、その30年後の1989年11月20日に『子どもの権利条約』が採択。
ゆえに定まった世界こどもの日。


いばらき居場所づくりサミット2024

この日茨城県水戸市三の丸庁舎で行われた『いばらき居場所づくりサミット2024』は、県内の自治体関係者や子ども・子育て支援団体、一般の方などリアル・オンラインで120名ほどが集まり、4つの自治体と9つの民間団体の取り組み事例とシンポジウムを聞いたり、テーマ別のディスカッションをするなどして子どもの居場所に対する理解を深め、行ってきたアクションを振り返り、これからに向けて考えました。

さて、今回の『いばらき居場所づくりサミット2024』の意義と意味を正確にご理解頂くには、少し権利の話や日本が歩んできた道を知る必要があるので、小難しいお話にもなりますが、お付き合いください。

『いばらき居場所づくりサミット2024』


『子どもの権利条約』

日本の批准は1994年(批准国・地域数196のうち158番目)で、今年2024年は批准30年。その2年前の2022年にこども基本法が成立し、昨年にこども家庭庁が創設されました。

基礎知識①『条約・憲法・法律・条例』適用レベルについて
わかりやすく端的に説明すると
□条約:世界レベルのルール(こういう世界にしようね)
□憲法:国のルール(こういう国だよ)
□法律:国民のルール(その国のためにこの国にいるみんな守ろうね)
□条例:都道府県等地域のルール(その地域にいるみんな守ろうね)
日本では、【憲法≧条約>法律>条例】となります。

基礎知識②『批准』の意味
条約を"批准"するということは、批准した国が条約を履行する法的義務を負うということ。これを「誠実履行の義務」といいます。
具体的には、
・条約を実施するために必要なら国内法を整備する、改正すること
・(国連などへの)報告や監視の義務を負うなど
が生じることもあります。

子どもの権利条約『4つの原則』

□差別の禁止
□子どもの最善の利益
□生命、生存及び発達に対する権利
□子どもの意見の尊重

基礎知識③ "原則"とは、あらゆる子どもの権利の実現を考えるときに合わせて考えることが求められる基本的な考えのこと。

子どもの権利条約を1994年に批准した日本は、
その批准時より国連から「子どもに関する国内法の整備の不十分」を指摘されていました。
国連からの指摘と、国内の動向から日本は少しずつ法整備を行っており、
1999年に「児童ポルノ禁止法」、2000年に「児童虐待防止法」が制定され、その後、いじめが原因で起きた自殺事件が起きたことを契機にいじめ防止対策推進法が制定されました。
これらを通じて教育現場における体罰や子どもの福祉は改善されて行きましたが、親権者の「しつけ」の体罰(= 虐待)は依然として行われ、死亡事件が後を絶たない状態でした。その間、国連からの是正勧告は継続しており、国内で頻発した虐待死を受け、2019年に「児童虐待防止法」および「児童福祉法」の一部改正が行われ、体罰の禁止が明文化され、児童の権利擁護、児童相談所の体制強化、関連機関間の連携強化の措置が組み込まれました。


対処療法としての日本の法律

しかし、これらの法律は、縦割り行政の弊害が随所に現れ、本質的な解決に至らない対処療法的なものでした。
国連が繰り返し指摘していた「子どもの福祉や権利における総合的な法律基盤を整える」ものではなく、「子どもの権利」を守るという根本的な理念を体現しているものでもありません。


その間も、子どもを取り巻く課題は深刻化しています。
2023年の日本の子どもの相対的貧困率は11.5%でOECD最悪の水準、重大ないじめ件数と不登校者数も2023年度は過去最大となり、小中高生の自殺者数は2023度は513人が命を絶ち、子どもの精神的幸福度は世界最低レベル、少子化人口減少は既定路線です。


2022年を機に大きく動き始めた日本の子どもの権利認知

子どもの権利条約の批准から28年後の2022年。

日本の子どもの権利の地位は大きく動き始めました。
こども政策を省庁の分断なく、社会全体で総合的かつ強力に政策を推進できるように『こども基本法』が制定され、管轄する『こども家庭庁』が置かれました。

その基本理念は6つ。
それぞれをそのまま記載すると長くなるので、
簡単に要約すると下記といえます。

1.基本的人権の保障と差別の防止
  ―全ての子どもが個人として尊重され、差別を受けない。
2.福祉と教育の平等な機会の保障
  ―子どもが養育・生活の保障を受け、平等に教育を受ける権利が守られる。
3.意見表明と社会参加の機会の確保
  ―子どもが発達段階に応じて意見を述べ、多様な活動に参加できる。
4.意見の尊重と最善の利益の優先
  ―子どもの意見が尊重され、その利益が最優先に考えられる。
5.家庭養育の基本と支援の充実 
  ―家庭での養育を基本として保護者を支援し、困難な場合は環境を確保する。
6.子育ての喜びを実感できる社会環境
  ―子育てに希望を持ち、喜びを共有できる社会を整備する。

こども家庭庁HPより

そしてこども家庭庁のスローガンは『こどもまんなか』

一方で、国レベルではなく、地方自治体や民間にフォーカスを当てると大小さまざまなな動きや支援の形、権利擁護の環境構築などは行われ続けています。

茨城県での試み

茨城県では、子ども・子育て支援団体として57団体(特定非営利活動法人セカンドリーグ茨城HP参照)活動しており、そのセカンドリーグ茨城主催で年に1度のフォーラムを2023年までに9回行われてきました。

そして、今年10回目となるフォーラムのテーマが、
こども家庭庁が掲げたスローガンとその施策に呼応し『こどもの居場所』となったことを受け、県内の各団体からメンバーが集まり今春実行委員会が立ち上がりました。
実行委員会は、茨城県内全44市町村へアンケートを取って、県内のこどもの居場所の現状や課題や施策などを調べ、東京で長くあそびのプレイスメイキングを手掛けている一般社団法人TOKYO PLAYさんから代表理事の嶋村さんをお迎えしてプレフォーラムを行い、茨城初のプレイデーキャンペーンいばらきプレイデーを11月に2週間に渡って実施し、今回のサミット開催へつながるという流れでした。
サミット参加者数は過去最高の人数を記録したとのことでした。


(会場は茨城県水戸三の丸庁舎)
(サミットの様子)
(自治体担当者の方の事例発表)
(つくばで活動する団体の事例発表の様子)

光栄なことに、まちのこ団の団長も委員の一人にオファーを頂き、微力を尽くしてきました。
振り返れば、もっとできたことあったなと思いますが、この継続と、今回立ち上がったムーブメントの火を継続・次に託せるように前を見て進み続けたいなとも思った機会でした。

(まちのこ団もお話させて頂きました)

今回様々な形で支えてくだった皆さま、アンケートにご協力頂いた皆さま、いばらきプレイデーひたちのあそび場でご一緒した皆さま、サミット登壇いただいた皆さま、実行委員の皆さま、そしてセカンドリーグ茨城事務局の皆さま、本当にありがとうございました!

(写真/文=まちのこ団)

いいなと思ったら応援しよう!