【渡辺雄一さんインタビュー】フラッグフットボールを通じて子ども達に運動の楽しさを伝える伝道師
プロフィールにある通り、社会人アメフトのトップチームに所属し日本代表にも選出されていたと聞くと、アメフト一筋の人生を歩んでこられたのでは?と想像してしまいがちですが、意外な経歴を歩んでこられた事をインタビューで伺い驚きがありました。
今では子ども達に運動の楽しさを伝え、体力や運動機能の向上を図るために小学校などを訪問してフラッグフットボール※ 教室に取り組まれている渡辺さんの「生き方」・「働き方」の裏にある想いをインタビュー記事に綴りたいと思います。
目次1:アメフト現役時代に経験した小学校訪問
渡辺さんは社会人アメフトの日本選手権(ライスボウル)常連のオービックシーガルズに1997年に入団しました。そこから選手兼コーチとして2015年まで19年間にも渡り第一線で活躍をされてきました。その途中には大学時代の旅行で魅了されたタイの海が忘れられず一時は移住までしてスクーバダイビングのインストラクターとして働いたり、米国でアリーナフットボールに挑戦したりと、面白いと感じたコトに飛び込んでみるチャレンジ精神を持ち合わせています。
所属していたオービックシーガルズは、2003年に千葉県習志野市に拠点を置き、地元のファンを増やす活動の一環として小学校などを訪ねてフラッグフットボールの体験授業を行う「きてきてアメフト先生」という活動を始めました。
元々2002年に初めて小学校を訪問していた渡辺さんは、フラッグフットボール授業で種目にかかわらず現役のアスリートが子どもたちと触れ合うことが非常に価値ある、そして実は自分たちにとっても非常にかけがえのない経験であり、競技者として頑張るモチベーションにつながることを経験していたため、フラッグフットボール授業の機会を創ることに率先して携わってきました。
目次2:フラッグフットボール教室で感じた子ども達への可能性
最初はチームのファン作り、アメフト競技普及、地域貢献活動の一環として現役選手の立場で携わり始めた学校訪問ではありましたが、その面白さに触れ、今ではスポーツを通して子どもたちに体を動かす楽しさ・気持ち良さや思いやりを経験し、自己肯定感を高める場を創ることを軸として取り組まれています。
フラッグフットボールを体験する小学生の活き活きとした姿を見ることのやりがいは計り知れないと渡辺さんは語りますが、生業にまで至った想いの背景には子ども達の運動能力低下への危機感があったようです。最初はアメフト人口の増加を目的に始めた学校訪問ではあったものの、現場の実態は運動離れが想像以上に進んでおり、本来は日々の屋外での遊びから自然と学べそうな走り方や転んだ時の手の付き方もままならない子どもが多くいる事を感じました。そして、運動する子どもをそもそも論として増やす必要があると考える様になりました。
現役引退後もオービックシーガルズの地域貢献活動としてフラッグフットボールを教える一方で、個人事業主としても子どもの運動離れ、運動能力低下に課題意識を向けたキッズスポーツクラブを仲間と立ち上げ、身体の使い方はもちろん運動の楽しさを伝えて運動離れが進んだ子ども達にその面白さを伝える事業に取り組まれています。
子ども達に運動を教える際には、その上手い・下手ではなく、子ども個人個人の小さな動きの変化に気づき、少しでも進歩したポイントを褒める事を心がけているようです。教え込むというよりは子どもが自ら考えて動きを真似しながら今まで出来なかった動作が出来るようになる。そうして運動への興味関心が自然と高まるように働きかけるテクニックが渡辺さんの指導にはあります。
元々トップアスリートだったことは言うまでもないですが、子ども達と実際に過ごした時間の中で指導方針を確立したお話を伺い、インタビュー中にも自然とあふれ出る指導者としての自信を感じました。
目次3:運動を通じて得られる成功体験を子ども達に
これまでオービックシーガルズの活動に携わる中で、地域活動を行う難しさにぶつかった事もありました。最初は実績も無い所からのスタートであったため、まずは自分たちが地域に対して喜ばれること・元気にできることを率先して行ってきました。その活動は小学校訪問に限らず、イベント、お祭りへ積極的に参加することまで広げ、商工会議所や地元企業との繋がりを作りました。そして、習志野市と協定を結びチームのサポーターを増やしながら、小学校訪問に繋がる礎を固めながら活動を継続させてきました。
このようにグラウンドの外でも活躍してきた渡辺さんは、今後はオービックシーガルズの枠を超え、全国の小学校を対象にフラッグフットボール教室を拡大していきたいと語ります。指導者はチームを跨いだ繋がりが広がっても良いし、今まで行っていない地域の学校にも積極的に足を運びたいと構想をふくらませています。
運動する子どもを増やしたいと考えている想いの中には、子ども達の運動能力への危機感だけではなく、ご自身がアメフトを通じて感じた達成感やチームメイトとの繋がりの素晴らしさを子ども達に伝えていきたいという考えがあります。
一人でも多くの子どもに運動の楽しさを知ってもらい、そこで得られる成功体験や仲間といった将来の人生で糧となる人生経験を味わってほしいとビジョンを描いています。
<過去のバックナンバーはこちらからご覧ください>
編集後記:
最初は選手としてお手伝い的に参加したフラッグフットボール教室で感じた子どもへの期待と危機感をご自身の働き方に還元し、今なお探求心を持って活動される姿には想いの強さを感じました。
渡辺さんとはパフォーマンスに雲泥の差があるものの私もアメフト経験を積んでいた時の事を思い出しながら、運動に関わる人口・子どもを増やしたいという想いには共感しっぱなしでした。子育ての隙間時間を作れた暁には私もフラッグフットボールに関わりたいと思わず引き込まれたインタビューでした。ありがとうございました!
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