川端康成『眠れる美女』
新潮文庫に収録されているのは、以下3作品。
「眠れる美女」
「片腕」
「散りぬるを」
「眠れる美女」は、そのまま眠っている女が出てくる話。(似ている題材では、よしもとばななの『白河夜船』も好きだ。)
眠りという、あくまで個人的な営みが、このいかがわしい「家」では他人と共有される。この家に通う老人たちにはもう手の届かない性の夢、すぐそばまで来ている死が、彼らの眠りの上をひらりと舞う四つの夜。
表題の作品が目当てで読み始めたが、印象に残ったのは「片腕」の方だった。
稲垣足穂っぽいSF感と、川端康成のフェティシズムが混ざり合った、絶妙な手触り。
映像が綺麗だなぁ。
川端康成の本、一番有名な辺りは昔に読んで忘れてしまったけど、この一冊を読む限り、映像がはっきり浮かんでくる、正確に言葉に写し取る文章を書く人だなぁと思う。
※2022年の年末から年始にかけて、跨いで読んだ。この本みたいな鮮やかな悪夢は、見ていない。
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