トロツキー『わが生涯』
ぼくは、トロツキーに引きつけられるものがある。
それはトロツキーが、オルガナイザーとしても演説家としても政治家としても理論家としても軍略家としても非常に優れた人物であるからというのもあるが、それ以外の「弱点」も魅力的なんだ。
有名な話だが、誕生したばかりのソ連という国の命運を賭けたトロツキー対スターリンの党内闘争のとき、当時腐敗が進んでいたロシア共産党の内部事情(とりわけ政治局内の事情)に嫌気がさしたトロツキーは、重要な政治局会議の場で議論に参加せず、バルザックなどのフラン