ヒトハコ&知のカフェ

 僕が足を踏み入れたのは本を通して人々が笑顔でコミュニケーションを取っている空間だった。その空間は、いつもなら人はあまりいないような場所だった。そこにいるのは、餌を求めた無数のアリたちだけだ。
 しかし、今日は違う。その餌を求めた無数のアリしかいない空間が
たくさんの人と本で溢れていたのだ。
 その場所は県立図書館の横にある。いわゆるオープンスペースと言われている広場だ。広場と言っても広さは半径三メートルくらいの小さな空間だ。その空間に人と本がたくさんあるのだ。信じられるだろうか。いつもなら人が一人でもいればいいような場所にこんなにもたくさんの人がいる光景を。

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