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毎月みんなへ向けた詩歌

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月初めに出すことを目標にしておりますが、なんだかんだ月末になってしまう日も。毎月のどこかで、頑張りすぎてしまった時、行き詰まった時に、読んで頂けますように。
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#詩

直角の11月

直角の11月

「寒くなってきたなあ」

肌を刺す11月の風と会話をするように、呟く。

季節が変わりゆくこの瞬間、私たちは何故か過去を思い出すようなメカニズムを手にしているような気がするんだ。

そういえば、あんなことがあったのは、去年だったか、一昨年だったか。
ちゃんと進んでいっている”自分”として、薄れていく過去をじっと見つめる。

こういう時間もきっと必要で。
がむしゃらに頑張って過去のことなんて忘れ去っ

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ふわりと浮かぶ10月

ふわりと浮かぶ10月

夏が、あっちのほうへ行った。
秋が、こっちのほうへ来た。

肌の表面を秋風が擦っていく。

夏にはない風の角度のようなものを感じる。

過ごしやすい季節になったなと一息つきながら、私たちは一体どんな未来を想像するのだろう。

ベンチに座り、夏を走り抜けた装備を一つずつ脱いでいく。
カチャカチャと鳴らしながら、降ろし、そして、自分の隣に置いていく。

私たちは、こんなにも重たいものを背負いながら走っ

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8月というオレンジ

8月というオレンジ

オレンジ色が広がっていく。
どんな人間も救い出せる、そんな意志を感じながら、自分に光が差す。

夏という季節にピッタリの、力強いオレンジ色の光が。
足元の光がクルクルと回り出して、そして自分の身を包み、そのままふわりと抱き上げて、そして。

そんなふうに、見えない力が宿っているかのように感じるオレンジという光。

眩しいね。
夏は、暑さは、いつだって眩しい。

夏休みを楽しむ子どもの声が、私の元へ

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七月を掻き分ける

七月を掻き分ける

まるで、雨雲が足を生やして地上に降りてきたかのような、もくもくとした霧が目の前に広がっている。

人々は目の前の霧を鬱陶しそうにしながらも、霧の向こう側の世界へと足を踏み入れて行く。

でもきっと、向こう側は晴れているのだろうと、私たちは信じている。

だって、止まない雨はない。

私たちはそれを知っているからこそ、霧の向こう側に光を見ているんだ。

きっと、ある。
そこに、あるんだって。

そう

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六月という地点

六月という地点

六月になると、誰かがこう呟く。
「もう、一年も折り返しだね」と。

そこで、私は、今いる六月の地点から、左側を向き、
五月、四月、と、過去を思い出そうとしてみる。

すると、瞬く間に、頑張れていない自分が顔を出して、
六月を歩く勇気が消滅していくような気持ちになった。

もうすぐ夏が来ると、世間は言う。
煌びやかで、賑やかで、皆が走り出すような、夏が。

「勝負の夏」
「今年の夏は、」
「夏で決ま

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