なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の「経営チーム」 読後レビュー

内容要約

日本的組織の特徴は「予定調和」、結論ありきの組織運営であり、その問題は前例踏襲で深く掘り下げる思考をしなくなることである。
これが組織の安定を重視する大企業を根本から支える文化だが、低成長を抜け出し非連続な価値創造を生み出すには「挑戦文化」に変える必要がある。
その要として経営陣(役員チーム)に注目し、共感力をベースとして当事者意識を持ったチームに変えることで変革を推進していくことを提唱している。

感想

これまで何十年も風土改革に携わってこられた著者柴田さんの本の中で本書は、役員チームというレイヤーに焦点を当てた点が新しいと思います。個と個の信頼関係を築き、本質的な改革をする、その一番泥臭いところをハンズオンで支援されてきたからこそ見える泥臭い知見に大きな価値を感じます(頭出しと3章)。

個人的な感想としては、役員をチームとして機能させることで変革がドライブされるような企業の前提条件がどんなものなのか掘り下げが必要だと思いました。
本書の中で取り上げられる事例は、「社長の出身事業のクロージングというタブーへの切込み」なわけですが、これはある意味忖度の世界の問題です。しかし本質的な事業変換、特に既存事業を否定するような変革が本当に役員をチームかすることで可能なのかという疑問があります。このレベルになると経営者の強烈なトップダウンがほぼ全てではないかと思うからです。

大企業に限らず、経営に携わる方々、もしくはそこへアプローチできる方々には、役員のチームかという命題を考える上で一読の価値があると思います。もやもやする部分もありますが、議論の呼び水になると思います。


ネタバレになりますが、以下のリンク先で役員チームが機能する条件について掘り下げていますのでご覧頂けたらと思います。

https://www.boompanch.info/post/00067


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