歴史が好きで、地名が好きで、京都がもっと大好きで
京都市営バスの1日乗車券がなくなる、というニュースを聞いた。
他地域のかたからすればなんのこっちゃという話だが、大人700円、小児350円の切符を買えば、市内の均一運賃区間内を走る市バスを含めて京都バスやJRバスが乗り放題になるというもの。もとは1回乗ったら均一で大人230円のバスなので、4回以上にわけて乗る場合はこの券を買ったほうが安いという計算になる。
僕は、今はれっきとした「京都市民」であるが、もちろんそのまえは「ひとりの観光客」にすぎなかった。この1日乗車券も買ったことがある。
しかし、立場が変われば思いも変わる。
今となっては、人間1人ぶんほどのキャリーケースをひきながらバスに乗車してくる観光客をみると「うわ、きた」という本音がでてしまう。
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さて、話は変わるが。その京都にはたくさんの「珍しい地名」で溢れている。
読みにくいもの、ながいもの、歴史エキスがまじったものなど、(少なくとも僕にとっては)興味をひく地名はそれこそ寺社の数ほど存在する。
なかでも、僕が気になったのは「動物のなまえを冠する地名」だ。
バスのつながりでいうと、「今熊野(いまくまの)」、「上鳥羽馬廻(かみとばうままわし)」、「鷹峯源光庵前(たかがみねげんこうあんまえ)」など。メジャーなところだと「烏丸(からすま)」が入るバス停名はいくつもある。
(鳥類が多い?)
あえてバス停でしぼることをしなければ、「猪熊通り(いのくまどおり」、「亀屋町(かめやちょう)」、宇治にいけば「莵道(とどう)」がある。ほかにも、かつて後白河法皇の近臣たちが平氏を滅さんと陰謀を企てた「鹿ヶ谷(ししがたに)」や、徳川家康ゆかりの伏見区には「鷹匠町(たかじょうちょう)」といういかにもな地名もある。
そのなかでも僕は、北区にある「牛若(うしわか)」という地名に興味をもった。
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まわりには有名なところだと今宮神社や大徳寺がすぐちかく。そして、歴史が好きな方ならすぐにピンとくるだろうが、この地名は源義経、いや、「牛若丸が誕生したと伝わる井戸」があることに由来している。
「牛若」って格好いいし、なにより「うしわか〜」って口に出して言いたくなる。
少し場所はここから離れるが、義経が奥州平泉に旅立つさいに旅の安全を祈願したとされる「首途八幡宮(かどではちまんぐう)」も「今出川浄福寺(いまでがわじょうふくじ)」というバス停からすぐに行ける。
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ただの歴史オタク、っていったらそれまでだが。文章を書く人として、ただ歩いているだけで、ただバスに乗っているだけでこれだけ知的好奇心が刺激される場所を僕はしらない。
こういう楽しみ方があるにもかかわらず、僕のように元はひとりの観光客が京都を好きになっていずれ市民になる可能性があるにもかかわらず、観光客がふたたび増えることを恐れて今回の決断をした京都市にたいしてちょっとひとこと物申したい。
が、いまさら何を言ってもきっと「馬の耳に念仏」なのだろう。
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