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ブラッシュアップライフ感想と、人生やり直したいか否か考えてみたらそれはカタルシスだった



過去を懐かしむのが好きだ。

今が楽しくないから昔に戻りたいと思っているわけではなく、ただただ懐かしいなぁと思い出をなぞるのが好き。友達と「あの時はあーだった」「懐かしー!」「そうだっけ?覚えてない!」って何回も同じ話をして笑ってる時間が好きなんだ。

そこに「あの頃はよかったな・・それに比べて今は・・」みたいなネガティブな感情はない。

ところで、
バカリズム脚本の「ブラッシュアップライフ」という今期のドラマにハマっている。

※ここからはドラマブラッシュアップライフのネタバレを含みます。ご注意を!



主人公が89年生まれという設定なこともあり、88年生まれの私はほぼ世代ドンピシャで、たまごっちやシール交換、地元にラウンドワンが出来たときの衝撃、ローカルなCMをネタにしてプリクラを撮っちゃう、
などなど
幼少期の頃の小ネタだけでも共感できる点がたくさん散りばめられていて、見終わったあとはいつも 今日もエモかったーおもしろかったー となるドラマだ。

さらに毎回違うエンディングソングがかかるんだけど、それがまたそのラストのシーンの状況と絶妙にリンクしていてそれが本当にナイスなチョイスでダイスキで。←急に韻踏む

もちろんラスト以外にも、挿入歌や登場人物がカラオケで歌うシーンなんかも懐メロづくしで最高。

私的に響いたのは、

第2話、人生2周目の麻美がミタコングの痴漢の無罪を証明をして無事冤罪から救ったあと。ミタコングが麻美の実家にお礼に訪れたとき、「実は去年結婚して子どもができたばっかりだったんだよ。本当に助かったよ、ありがとな。」と渡された菓子折りが入ってそうな袋から、中学の時に没収されたゲームボーイアドバンスが出てきたときにかかる、

槇原敬之/僕が一番欲しかったもの

歌詞自体が、麻美が人生2周めで誰かのためにしていること(=得を積むこと)とリンクしている部分もあるのでほっこり感動しつつも、
成人式の後のカラオケで福ちゃんが若干マッキーに寄せた歌い方で熱唱するシーンがチラつき、なんとも言えない感情になった。

あとは
第7話。人生3周めまでは、少しずつ歩む道が変わってもみーぽんとなっちとの仲良し3人組が崩れることはなかった麻美が、もっと得を積もうと決意して勉強に勤しんだ結果、4周めでは仲良くなるきっかけを逃し疎遠になってしまう人生となる回。

本来3人で誕生日会してワチャワチャしていたはずのカフェでばったり遭遇するシーンでかかる、

ZONE/secret base 〜君がくれたもの〜

あの距離感ーー!切なくて泣いちゃった。
同じテーブルに座らないんだ…すっごいよそよそしいんだ…

しかもこれ、第1話の最後で3人がカラオケで歌ってた曲でもあるのもあいまって、余計切なかった。

私もこの曲めちゃくちゃ当時歌ってた。みんな歌ってた。なんならハモリパートまで完璧だった。夏といえばZONEのシークレットベースとWhiteberryの夏祭りは絶対、みたいなとこあったし。(どっちも北海道出身のグループだ!)

そんなエモ曲に、10年後の8月どころか22年後の冬のドラマでまた出会えるなんて。

あとは第5話の、麻美が宮岡さんの車に乗り込んで不倫を阻止すべく、れなちゃんに近づかないで!と忠告するシーンにかかった、

マキシマム ザ ホルモン/恋のメガラバ

も、よかった。れなちゃんがカラオケでヘドバンしながら歌ってた曲がまさかここで。

バンド系は通ってこなかった私ですらわかる恋のメガラバ、めっちゃ懐かしくてニヤニヤしちゃった。

これまではコメディ色が強かったように思えたけど、第7話から第8話にかけて急展開を迎えてもう衝撃。8話なんて涙が止まらなかった。

今まで、麻美が死ぬ描写が毎回あっさりで、なんならあの白い部屋(天国?)でのバカリズムとのやりとりがコントみたいだなと思うくらいライトに描かれてるのがちょっと気になっていた。残された人々は?

誕生日のお祝いして、過去のネタを再現してプリクラ撮って(熊谷ビューティー学院)、コンビニでアイス買って食べて、最高に楽しい1日だったのに、次の日あーちんの訃報聞いたみーぽんとなっちはどんな気持ちだったの?

あーちんが初プロデュースしたドラマの初回放映日を3人でお菓子食べながら楽しみに観るところだったのに、きっとあーちん遅いねーなんて言いながら家で先に待機するみーぽんとなっちはその後待ち続けてどうなったの?

あんなに仲の良い家族だっているのに。職場の同僚だって。

考えただけで苦しいけど、そこはいっさい描かずに「オオアリクイは厳しいっすねーーー」「サバはどうにかなんないですかね」と生まれ変わりを渋る麻美の姿だけ。

あまりにあっさりひょうひょうとしすぎてて、死ぬことが悲しいと思うのは案外残された人たちだけで、死んでしまえば本人は悲しみなど感じないのかもしれないとすら思った。


でも8話で初めて、"死んでしまった友人(うのまりちゃん)"を見送る側になって、救えなかった絶望と何かを心に決めたようなあのトンネルのシーンの安藤サクラの渋みというかオーラはすごかった。映画じゃん。

そこで初めてうのまりちゃんは、みーぽんとなっちの飛行機事故を救えなかった絶望と悲しみを何回も味わってきたことに気づいたんだろうな。残された側の悲しみと、それでも人生が続いていくという静かな苦しみ…



ていうか、うのまりちゃん目線のタイムループを知って、また1話から見返したくなった。全然違う見方になるんだろうな。そりゃごんみさが歌うAIのstory刺さって泣くわ。(一人じゃーなーいーからー私が君を守るから……守りたかったねぇ泣)

もうさ、我々視聴者はずっと仲良し3人組だと思って見ていたのに、元々4人組だったってわかってから、うのまりちゃんは2周め以降この3人のことを遠くからどんな気持ちで見ていたんだよと思うと。。。くっ、目頭押さえたくなるぜ…


私が思うこのドラマの良いところは、
女友達の友情だけにがっつり人生の視点を当てているところ。


もちろん福ちゃん周りのゴタゴタや年収10億の元カレ(松坂桃李の無駄遣い)とかの恋愛要素も少しは出てくるんだけど、そこはあくまでメインではなく。
結婚とは・・とか、いつか母になっても・・みたいな、アラサーあるあるの話題もバッサリ切り捨てているところが本当に良い。


地元の友達が集まると、
「誰々ちゃんは今どこどこで仕事してるらしい」「何々ちゃんはあの長かった彼氏と別れたらしい」とかの、そこにいない人の近況をやたら共有し合って、「へーー成人式から会ってないな」ってうっすい会話をしたり、

ドラクエ派かFF派かの話に「私しょうゆ派。」っていう適当な返しをして意味わかんない会話を広げたりするもので、意外と恋バナなんてしないんだ。


しょーもない会話と曖昧な思い出話で成り立つ集まりこそ、仲良い友達とのリアル。

バカリズムはなんで知ってるんだろう、このリアルを。怖。

だから、麻美の4周めの人生がすごく味気ないものになってしまったように思えて寂しかったんだよな…(誰ですか?)

もう来世人間じゃなくていいじゃん。
オオアリクイ→サバ→ムラサキウニって、頑張れば頑張るほど人間から遠のいてるじゃん、もう徳を積むやり直しはおしまいにしてーー(涙)って思っていた矢先に、この展開。


あんなに望んでいた"人間になれる来世"がやっと回ってきたのに、それを選ばずに、最後のチャンスで自分の人生をやり直すことを決意した麻美。
あの決意した表情と足取りの安藤サクラ、本当にかっこよかった。役者とドラマごっちゃになってる。

麻美にとって大事なのは、来世で人間になることではなく、たくさんの人の命を救うことでもなく、大事な友達と共に人生を生き抜くことだったんだなきっと。

もう今から第9話、人生5周め(ラスト人生)がどうなっちゃうのか気になってしょうがないーー!
今度はうのまりちゃんと小学生から準備万端の体制でタッグを組んでパイロットになるんでしょ?ひぇー。

9話の予告を見たんだけど、
毎度お馴染みの成人式の後のカラオケの同窓会のシーン、いつもは一人で粉雪を熱唱してる加藤と、麻美が一緒に歌うシーンがちらっと映ったんだよね。その横でうのまりちゃんもタンバリン叩いてて。最後だからいろんなことを後悔しないように行動してるのかなと思うと泣ける。

粉雪は加藤。


来世ではなく、今世をよくするために生きる。っていい言葉だよ。カタルシスが震えちゃう。


私も、自分の人生を振り返ってみると"なるはずじゃなかったほうの人生"みたいなところが少しあって。
結果、大好きな人たちに出会って人にも環境にも恵まれて生きてこれたんだけど。


例えば、私は中学卒業後は高校ではなく芸術系の高専に進もうとしていて、受験シーズンは近所の絵画教室というかアトリエ?で死ぬほど絵を描いていたんだけど、鉛筆デッサン、木炭デッサン、水彩画、油絵、キュビズム(ピカソみたいな絵のこと)、模写…本当にいろいろ描きまくって勉強したのに、

受験、落ちた!!
推薦も一般も両方落ちた!笑



さらに公立の高校も落ちて、一つだけ受かった私立の高校に結局進んだ。落ちすぎてうける。

今でも覚えてる、受験の合格発表を見に行くときの親の車の中のラジオで、ハルカリのタンデムが流れていたことを。てんこもりっでーダーンス♪シャバダバランダバ エビバーリ♩ってやつ。合格発表の前に聴く曲じゃない。



落ちたけど、
でも私は結果的に最高な友達に出逢い、めちゃめちゃ恋愛もして、バイトもして、青春ど真ん中な最高な高校生活を送った。
絵からは離れて、美術の美の字もない3年間だったけど本当に楽しかった。母校がここで心から良かったと思っている。

卒業後は美術の美の字を急に取り戻し、デザインの専門学校に通うことにしたのも今思うと不思議だ。もちろんその2年間も濃かったし、大好きな友達やバイト仲間にも出逢えた。

そんで、夢とかないのに勢いで札幌から東京にやってきたのも、あのまま地元で就職してたらどうなってたんだろうと思う。

当時、うちのクラスからは上京したのは確か私だけ。もちろん同じ時期に東京に就職する友達や、あっちの大学に通う友達がいて心強かったってのはあるけど、大好きな地元を離れてなぜ飛び出したのか、なぜ決断したのか、あのときの心境が思い出せない。

あとは上京後もいろいろあって半年で転職しなきゃいけないことになったとき、ここだ!とビビっときて一本だけ受けた会社にまさか受かり、そこで約13年勤めることになったり。

こんな感じで、もし選択が違えば、全く変わった人生を過ごしていたかもしれないなと思うことが多い。当たり前といえば当たり前なんだけど。思い描いてたレールを少し外れた道を進んだ時期があったことは確か。

あのときああしていれば…
やり直せるなら戻ってやり直したい

こういうこと考えたことってみんな何かしら一度はあると思うんだけど、実際、麻美みたいに記憶を持ったままやり直せたとしても私は同じ人生を進みたい。

いや、もっと海外行っとこうとか
若いうちから日焼け止めちゃんと塗っとこうとか
英語をもう少し頑張って勉強しとこうとか
TWICEをデビュー時から好きになっとけとか
そういうちっちゃい軌道修正はしたいけど。(ちっさ)

住む場所、学校、職場は変えたくないかな。仲良くなった人たちと出会えない人生なんか考えられないから。それはカタルシスが許さない。

とにかく、友達とダラダラ過ごす時間は人生においてとっても価値があると思っている私にとってすごく刺さり、ここ数年でトップ3に入るくらい好きなドラマになりそうです。(同じ理由でコントが始まるもめっちゃ好き…今TVerで再放送始まったからミテ)

明日は第9話。麻美の最後の人生がよりよいものになって、無事ミッション成功して、4人で同じ老人ホームに入るところを見届けたい。そんな幸せな未来が待っていますように。バカリズム、頼んだ。

すんごい長くなってしまったけど、
ブラッシュアップライフを見て思うことがありすぎて独り言が止まらなくなった人間がここにいるということで、残しておきます。

本当は、「おそく起きた朝は…」みたいにダラっと集まってブラッシュアップライフの好きなシーンについてあーだこーだ喋りたい。誰かいない?私、磯野貴理子やるんで。
(古いよせめてグータンヌーボにして)(しかも今調べたらまだやってる上に番組名はやく起きた朝は…になってた。いつから早くなったの真逆じゃん)(しかも途中2年間だけおそく起きた昼は…になってるどういうこと)(混乱)


PS
私的に、最終話はケツメイシのトモダチか出会いのかけらをかけてほしい。泣くでしょ。

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