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読後寸評

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読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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#朝日新聞出版

意識高め150冊の書評本「あなたの代わりに読みました」

意識高め150冊の書評本「あなたの代わりに読みました」

本(あなたの代わりに読みました)

文芸評論家の斎藤美奈子さんの書評本で、副題が「政治から文学まで、意識高めの150冊」というものです。休刊した週刊朝日の読書欄に連載された「今週の名言奇言」10年分490冊の中から154冊を筆者が選んで、ジャンル別に掲載しています。

見開き2ページで1冊の本を紹介し右上に「名言奇言」を文中の文章をそのまま引用し、左中段に本の出版社と値段、下段に追加のコメントが書

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ムショメシ(刑務所の食事)の実情を書いた本「めざせ!ムショラン三ツ星」

ムショメシ(刑務所の食事)の実情を書いた本「めざせ!ムショラン三ツ星」

本(めざせ!ムショラン三ツ星)

刑務所の給食(食事)事情を書いた本です。私がこの本を知ったのは新聞の書評欄ではなく、夕刊の一般記事でした。料理好きなので早速読んでみようと本屋へ行きましたが、在庫がなく注文して取り寄せた次第です。それほど新聞で取り上げられながらも、やはり特殊な部類に属する本なのではと思います。

筆者の黒柳桂子さんは、愛知県の岡崎医療刑務所に勤務する管理栄養士(法務技官)である国

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わかりやすさが差別を生み分断に拡大する図式を説明した本「わかりやすさの罪」

わかりやすさが差別を生み分断に拡大する図式を説明した本「わかりやすさの罪」

本(わかりやすさの罪)

様々なメディアに執筆する武田砂鉄著の本です。雑誌「一冊の本」に連載されたコラムを単行本にまとめ、さらに文庫本にしたものを読みました。

タイトルの「わかりやすさの罪」というのは、おわりに(あとがき)の中で、出版を依頼した朝日新聞出版の担当者が当初つけた仮タイトルであったと書いています。その担当者が危惧したのは以下の通りです。

「最近、日本語がどんどん「易しく」「わかりや

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