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読後寸評

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読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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2024年5月の記事一覧

田中角栄元首相が逮捕された戦後最大の疑獄事件「ロッキード」

田中角栄元首相が逮捕された戦後最大の疑獄事件「ロッキード」

本(ロッキード)(敬称略。超長文失礼します)

戦後最大の疑獄事件といわれたロッキード事件を検証したノンフィクションの本です。筆者の真山仁は「ハゲタカ」などドキュメンタリータッチの小説を数多く執筆しており、元首相の田中角栄逮捕という衝撃的な結末で事件の幕が降りながら、今でも多くの謎に包まれた事件となっています。
文庫本で600ページ超の量でしたが、読みやすい文章と検証しながらの数々の仮説が繰り広げ

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わかりやすさが差別を生み分断に拡大する図式を説明した本「わかりやすさの罪」

わかりやすさが差別を生み分断に拡大する図式を説明した本「わかりやすさの罪」

本(わかりやすさの罪)

様々なメディアに執筆する武田砂鉄著の本です。雑誌「一冊の本」に連載されたコラムを単行本にまとめ、さらに文庫本にしたものを読みました。

タイトルの「わかりやすさの罪」というのは、おわりに(あとがき)の中で、出版を依頼した朝日新聞出版の担当者が当初つけた仮タイトルであったと書いています。その担当者が危惧したのは以下の通りです。

「最近、日本語がどんどん「易しく」「わかりや

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