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読後寸評

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読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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2022年2月の記事一覧

今年上半期の芥川賞受賞を読んで

今年上半期の芥川賞受賞を読んで

本(ブラックボックス)(ネタバレありです)

今年上半期の芥川賞受賞作品です。筆者の砂川文次さんは、1990年生まれの元自衛官で、現在は地方公務員です。

主人公は、配送会社に登録して自転車で書類などを配送する仕事をやっていて、流行のウーバーイーツなどの宅配と同じ個人事業主という設定です。
小説の前半はバイク便の日常を描いており、自衛隊出身の主人公と筆者を重ね合わせながら、これは実体験をベースにし

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日本が参戦した5つの戦争を分析した本「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

日本が参戦した5つの戦争を分析した本「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

本(それでも、日本人は「戦争」を選んだ)(長文失礼します)

東大教授の加藤陽子さんが、中高校生(栄光学園)向けに行った特別授業の内容を単行本化した1冊です。筆者の専攻は日本近現代史で、本書は小林秀雄賞を受賞しています。筆者については、日本学術会議の任命拒否問題での当事者の1人といった方がわかりやすいかもしれません。 

本書は序章の「日本近現代史を考える」から始まり、1章「日清戦争」、2章「日露

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