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読後寸評

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読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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2021年9月の記事一覧

今年下半期の芥川賞受賞作品2作を読んで

今年下半期の芥川賞受賞作品2作を読んで

本(貝に続く場所にて・彼岸花が咲く島)

今年下半期の芥川賞受賞作2作品です。共に女性で「貝に続く~」の作者、石沢麻衣さんはドイツ在住のドイツ美術史研究者、一方の「彼岸花が~」の李琴峰さんは台湾出身で母国語でない人物の芥川賞受賞は、確か2作目だと思います。

「貝に続く場所にて」は、ドイツの小都市で美術史を専攻する主人公が東日本大震災で亡くなった友人(幽霊)と再会する物語で、現実と幻想が交錯する展

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マチズモ(男性優位主義)を糾弾する本「マチズモを削り取れ」

マチズモ(男性優位主義)を糾弾する本「マチズモを削り取れ」

本(マチズモを削り取れ)

コラムニスト武田砂鉄氏のジェンダー考察の本です。流行りのジェンダーギャップやジェンダーバイアスなどの言葉を使わずに、敢えてマチズモ(男性優位主義)というキーワードを使って、世間に根強くはびこる男性優位の社会を糾弾しています。
毎章筆者の担当である出版社の女性編集者から、男性優位への異議を唱えるメールから始まり、その実態を調査して解決法を模索していきます。

二章では「電

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