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着物のお仕立て代って高いですか?

投げ銭スタイルなので、最後まで読めます。

『和裁士』は商標登録されています。
その理由が弁護士や建築士のように社会的地位の向上だったそうです。
なので、呼び方の独占という意味ではないのだと思います。

和裁士会に入っていない職人さんで、技能検定を受けている方々は、和裁技能士と言っています。呼び方が違うだけで、仕事は同じです。どちらもまだまだ知名度が低く、内職扱いされ、袷着物14000円程度で受けている職人がいます。家内労働者となる場合、各県の労働局に示されている最低工賃がまさしく内職扱いのひどいもので、その程度の金額設定なのです。

袷の着物を、傷や汚れの点検、地直し、柄合わせ、標付け、縫い、押し、仕上げ、梱包など含めると、実質何時間かかると思いますか?手の早い職人さんでも、寝ないでやって24時間はかかります。1日8時間だとして3日ですね。14000円で仕事を受けた場合、日給4700円弱。時給にすると590円弱ですね。手が遅い職人や、家事の合間に縫っていると1週間に1枚仕上げることができる感じかな。

袷着物を14000円程度のお仕立て代は低すぎると指摘すると、そういう和裁士を利用したいと思うお客様から、安い方がありがたい、つべこべいうな、価格設定は職人の自由、職人がそれで良いというのなら他人がとやかく言うなという厳しい意見をいただきます。

確かに価格設定は自由、色々な価格の中からお客様が選ぶべきです。高額で腕の良い和裁士さんにお願いしたい方はそちらを選び、着物の形になっていればよしという方は海外縫製や、国内の手頃な価格設定の和裁士さんを選べば良いのです。

ただ、年寄りのボランティア精神みたいな価格設定、ご主人の扶養範囲で小遣い程度の価格設定が、これからの和裁士の首を締めること、和裁士のなり手の減少につながることもある。

歳をとって、価格に見合った仕立てができなくなったら、潔く引退するか、指導にまわるか、価格を低くしたなら身内とかこれまでのお客様限定で新規は受けないとか、若い和裁士の迷惑にならないようにしないといけないなと、自分自身、肝に銘じました。

それから、何度でも言いますが、お仕立て代が高い、高いとよく聞きますが、呉服屋さんで支払っているお仕立て代=職人に支払われる金額、というお店は少ないです。たいていは、お客様がお仕立て代だと思って支払っている金額には、マージンが入っています。ブラックなところだと、半分しか和裁士に行ってませんよ。振袖とかだと、半分以下、3割くらいしか和裁士に行っていないところもあります。お仕立て代が高いのではなくて、マージンが高いのです。お仕立て代半額セールなんてお店は、和裁士からしたらブラックです。

もう一つ言っておきますが、良心的で、職人を大事にしている呉服屋さんは、マージンを取らないというところもあります。外から、それを見極められないのが残念ですね。


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