水彩画歴1年と少し、個展をやってみた話【準備編】
水彩画歴1年7ヶ月で個展をやってみました。前回の記事では、個展開催を決心するまでのお話でしたが、今回は個展を企画・開催したことがないド素人が、どんな風に準備をしたのかをご紹介します。
▼前回の記事
企画の出発点は、自分の望みと妄想
さて、とりあえず日付と会場は決まった。・・・ん?そもそも、個展ってどうやって準備するんだっけ。美大出身でもない”個展素人”の私は、何をどうしたらいいか・・さっぱり分からなかった。いきなり個展のハウツーに手を出そうとしている私を見て、くまさんが「待った」をかけた。
こうして、自分が何を望むのかを妄想するところからスタートした。これまで「お客様の望みに応える」ことに全力で邁進してきた私にとって、いわゆる”顧客からの要件定義書”が存在しない企画は未知の経験だった。
自分の望みだけに従って何かを企画するのはいつぶりだろうか。頭の中の”望み思考回路”があまりにも錆びついており、最初は何も浮かばなかった。そこで、手始めにPinterestでビジュアル検索をしながら、個展の妄想を膨らませることにした。
ビジュアル検索とイメージボードづくりで妄想を拡げる
Pinterestで「#個展」「#展示」などのキーワード検索をしたところ、素敵な写真がたくさんヒットした。大量の写真を眺めていると、自分の好きな展示方法や配色、雰囲気といった”パターン”が見えてきた。言語化できないけど、「なんかこの感じがいい」という写真をピンどめしておいた。
それをパワーポイントに貼り付けて、ビジュアルボードを作ってみた。
パワポを使っているところが、いかにも素人感満載。しかし、イラレもフォトショも持っていない私は、「パワポ職人をナメんといてー!」と謎に開き直っていた。(誰にケンカを売っていたのだか・・)
作品の制作過程を披露する案(上記)のほかに、1年7ヶ月の成長を知ってもらうために、絵を時系列に展示する案も妄想した。以下のビジュアルボードは、「花」の表現が1年でどれくらい変化したかを紹介しようとしたものだ。左下2枚が水彩画を習い始めたころの絵で、右上2枚がその1年後の絵である。
絵の周りの吹き出しは、フリー素材の吹き出し。絵を描いているときの心の声を表現しようとしている。(最終的にこれもボツとなった)
こんなふうに、ビジュアル検索 ⇔ 好きなイメージを見つける ⇔ イメージボートを作る、を行ったり来たりしながら妄想を広げていった。
コンセプトは「the making」
妄想を広げていくうちに、コンセプトも自然と固まっていった。
私にとってこの個展は「自分を好きになり、自信を持つこと」「やりたいことをやって幸せに生きること」へのリハビリであった。新しいことや慣れていないことを始めることは怖い。失敗したり、傷ついたりしたくないから、つい自分のコンフォートゾーンから踏み出せずにいる。そんな自分自身が一歩踏み出したら、何が起きるのだろうか。傷つくのだろうか。それとも、人の温かさに触れるのか。それを確かめるプロセスであった。
そして私と同じように、周囲の評価を気にするあまり、自分が本来やりたいことにフタをしている人に、少しだけ勇気をおすそ分けできるといいな、とも思った。
こうした思いから、コンセプトを「the making」にした。
まだ完成していない途中段階の絵を見せるのは、けっこう恥ずかしい。そして、自分で下手だと思っている絵を披露するのはもっと恥ずかしい。(パンツを脱ぐような思い)けれど、あえて恥ずかしい部分もひっくるめて、”いい歳した大人”のmakingを披露することで、誰かの第一歩につながると嬉しい。そんな思いを込めてみた。
ひつじちゃん参戦。さらに前進!
ここまで秘密裏に個展の企画を進めていたが、告知用のフライヤーづくりだけは、さすがの自称「パワポ職人」でも音を上げそうになった。そこで、会社の後輩で、美大出身のひつじちゃん(※羊には似ていません)に声をかけた。
ひつじちゃんは一つ返事で快く引き受けてくれた。フライヤーづくりの一環として、お手製の「パワポ版ビジュアルボード」を見せるときは、とっても恥ずかしかった。美大出身のひつじちゃんに笑われないだろうか・・・。もちろんそんなことはなく、『絵の制作過程を見せるアイデア、とても面白いと思いますっ』とニコニコしながら朗らかに言ってくれた。ひつじちゃん・・温かい・・(涙)
この一言がどれだけ励みになったか。何気ない一言だが、応援される側にまわると、小さな声かけや励ましの温かさが、想像以上のパワーになる。そうだ、いいと思ったことは、ちゃんと相手に伝えよう。そんなことも考えた。
フライヤー完成!ようやく小さな手ごたえ。
そんなこんなしているうちに、フライヤーが完成した。ありがとう、ひつじちゃん(涙)。正直、個展を始めようと決めたものの、常に失敗や笑われることへの不安があった。けれど、こうして何かが形になることは、気持ちを持ちこたえる手掛かりになった。
小さくても形にすること、そしてイイネ!と応援し、協力してくれる仲間がいること。こうしたことが”コトを前に進める”上で強力な推進力になることを知った。
こうして個展当日に向けた準備は加速していく・・・と言いたいところだが、仕事の繁忙期により準備は一時中断。このあと、開催2週間前まで、塩漬けにするのでした(笑)
次回はいよいよ、最後の追い込みと当日の様子をご紹介します!