2021年の本達
一時期、本がまったく読めなくなっていた。
無理矢理読もうとしてみても、ただ文字の羅列を目で追いかけるだけで、内容が全然入ってこない。本だけじゃなく音楽も聴きたいものがないし、じゃあ気晴らしにコスメの1つでもと思うがこれといって欲しいものもないし。
この由々しき事態をどうしようかと思っているとき、ちょうど後輩とスタジオに入ることになり、そうなると気が向かずとも曲を聴いてギターを持って練習しなければならず、いざスタジオで久しぶりに一緒に演奏したらものすごく楽しくて、結果そこから徐々に音楽だとか本だとかを飲み込めるようになったのだった。
…という長い前置きから入ったのは、本当はもっと読めたのにという消化不良の気持ちを成仏させたかっただけです。
今年の読了ラインナップはこんな様子。
個人的ベスト3はこちら。
1:戦時の愛/マシュー・シャープ
2:ファットガールをめぐる13の物語/モナ・アワド
3:わたしのいるところ/ジュンパ・ラヒリ
戦時の愛/マシュー・シャープ
大好物のヘンテコ系掌編、そして柴田先生の訳なら間違いないだろうと思い、今年初めて読んだマシュー・シャープ。
全体的にカラッと乾いた空気をまとっている印象で、軽やかだけど読み終わった後もかすかに香りが残っているような、そんな物語たち。中でも「アイスクリーム」が好き。
ファットガールをめぐる13の物語/モナ・アワド
こちらもはじめまして、モナ・アワド。
“なりたい自分”ってポジティブな原動力にもなりうるし、その反面呪いでもあるなぁと思わされた1冊。ゴールはスタート、終わりは始まり。そのことをしっかり意識しておかないと、自分を苦しめるかもしれない。
わたしのいるところ/ジュンパ・ラヒリ
今年に入ってラヒリを何冊か読んで、日記みたいなこちらが特に気に入りました。「わかるぅ〜!」ってなったりもしてね。ラヒリの文章は、孤独とか哀愁とかそういう類のものがベースにあることで、読み手に寄り添ってくれる感じがします。
番外編、1番手に取った本。
創造者/ボルヘス
そう、この質問をしたのはわたしです。
これを聞いてすぐに買って、とにかく繰り返し読んでいる。
そして来年は『アレフ』、『伝奇集』も読んでみようと思っているところ。
あとはMONKEYも変わらず読んでいるし、都合がつけば月に1度、手紙社主催の柴田先生のオンライン朗読会も参加しています。
オースターの『4321』、来年出たらいいなぁ…!
2022年もたくさん読んでいろいろな感情に出会えますように。