コロナ2年目、君たちの成長が、日本の将来を決める。(Off the pitch talk 第41回〜第43回まとめ)
皆さん、こんにちは。神村です。
前回は、リーダーが「話す・語るスキル」磨くことの意義と、実際にスキルを磨くための方法についてご紹介しました。
今回は、私たちの生活を一変させたコロナも2年目を迎え、これからどのように適応させていくべきかについて、「社会・組織・個人」という3つの軸で皆さんと考えていけたらと思います。
(本稿は「Off the pitch talk 」第41~43回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー小出さん(@Twitter)&文責:神田さん(@Twitter)でお届けします)
↓↓音声で聞けるstand.fmはこちらから↓↓
#41 : https://stand.fm/episodes/600eaddc8ba7e1b79c1e44ba
#42: https://stand.fm/episodes/6011320e8ba7e1105e1e789a
#43: https://stand.fm/episodes/6013d4648ba7e107c31eb1ea
不確実な社会こそ、意志を持て
まずは日本社会という大きなテーマで考えていきます。コロナが発見された当初、世界中にこれだけの影響を及ぼすなど誰も予想していませんでした。また、これから先どうなるのか、誰にも予想できない不確実な社会になっていることは明白です。換言すれば、答えが見えない時代に突入したとも言えます。
コロナのワクチンが供給されても、本当に感染を防げるのか、さらにはコロナ以外にも日本には様々なリスク要素があります。その代表的なものは近年毎年のように起こる自然災害です。つまり、不安定かつ不透明な状況が社会の前提であるということです(例えるなら、目を瞑ったまま一歩ずつ歩を進める様なイメージでしょうか)。
ここでのポイントは、自身の判断基準を磨いていく、そのために自分の頭で考える習慣をもつということです。物事に対する判断の是非は後にならないと分かりません。 例えば、東京オリンピックの開催是非についても、今まさに検討段階にありますが、やる/やらないどちらの結論になっても、それが正解か否かが判明するのは、五輪の時期を過ぎないと分かりませんし、立場の違いによってその見方は変わってきます。「答えは一つではない」のです。
ですから、自分の意見をハッキリ持ち、それを主張していく社会になっていくべきタイミングが今まさに訪れていると思うのです。
ただ、日本では、個人の意見を述べること自体が、ある種のタブーとされているような風潮があります。反対意見を言えない風潮は、組織や社会にとっては良い影響を生み出せない原因になり得ます。
以下の2冊は、日本の風潮を表していて参考になります。
◆『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』 (講談社現代新書)鴻上尚史、 佐藤直樹
◆『空気が支配する国』(新潮新書)物江潤
あえて申し上げるならば、私は個人的には、今年のオリンピックの開催は現実的に難しいと考えています。そして、できるだけ早く国民や全世界に対して、国のリーダーである首相がメッセージを出すべきだと思っています。誰もが開催して欲しいと持っているからこそ「中止」の決断は難しいでしょう。当然、様々な所から反論が出るでしょう。ただ、それを恐れない勇気をもって欲しいと思います。ずるずると、世論の風を見ながら決めていくという姿勢は個人的には反対です。
トップの言葉が組織を強くする
コロナを経験した多くの企業が、これまでのセオリーや経験が中々通用しない時代に突入したと思っている筈です。例えば、来期の業績の見通しについて、各社の経営者がどのように考えているか、私自身とても興味があります。
また、社員には「うちの会社は今後どうなるんだろう…」という漠然とした不安があります。この時、社長はどんなメッセージを出せば良いのでしょうか。客観性を担保しつつ、皆が納得できるよう明解な目標を出すことが求められます。例えば、「去年は大変だったけど、今年は頑張ろう!」という観念的な打出しではなく、「今年は昨年の実績値より何パーセント改善させるぞ!理由は・・」というハッキリとした目標が理想です。正解がない時こそ、リーダーの言葉の力が活きてくるのです。しっかり方向性を決めた上で、それを社員に示していくことが重要です。リーダーの決めた方向性を「正解に導く」力が管理職・メンバーにはあるはずです。
この言葉の説得力を持たせる上で大切なのが以前にも話した客観的な数字(データ)の分析力です。例えば、サッカーの入場者数で考えてみましょう。コロナ以前の平均入場者数が5,000人だったのに対し、コロナになって平均入場者数が3,000人に減ったとします。この事実に対し;
①「2,000人の方々がご来場されなかった理由は何か?」
②「なぜ3,000人の方々はコロナにもかかわらず来てくれたのか?」
などの問い・仮説・検証を繰り返しが必ず来シーズンに活かせると考えています。
今のように「正解のない時代」には社員、とりわけ若い世代の方々に求められているのは、仮説を立てる力です。少し前までは、課題発見力や問題解決能力がクローズアップされていましたが、それは課題が明確であったり、答えがある程度ハッキリしている前提の話です。不透明な社会においては、仮説は一つではありません。自身の一つの意見にこだわるのではなく、複眼的に仮説を立てことが大事になります。その上で、一つ一つの仮説を検証していくスキルが極めて重要になってきます。
コロナとの付き合い方を磨こう
最後に、個人についてフォーカスしていきます。コロナという環境と向き合う中で、皆さん一人ひとりが考えなければいけないのは、「これはやっても大丈夫、逆にこれをやってはいけない」という判断軸を持つということです。
いま政府が「外出自粛しましょう、不要不急の外出は控えてください」と全国民に呼びかけていますが、コロナの感染拡大を止めるという目的に立ったとしても、人々がずっと家の中に閉じこもる(巣ごもり)状態を続けるのは無茶な話です。通勤のあり方、会議のあり方、営業は・・・・様々な状況において「こういう対策をとって行う」といったような線引きを明確にすることが大切だと思っています。社会の足並みを乱すつもりはありません。安全・安心は人から与えられるものではなく、自分たちで考えて作り上げていくものだと思うからこそ、各社・各自が判断軸を磨いていくべきなのです。
リモートワークについても、私は推進派です。通勤時間の無駄は社会人になってからずっと思っていました。(真夏の満員電車で1時間以上かけて通っているのは、本当に無駄なことだと思っていました。)
ただ、最近少しリモートワークのデメリット=気を付けなければいけないことを感じるようになりました。
一つ目は、周りのから刺激を受けたり、モチベーションを上げる機会が奪われているかもしれないことに気づくことです。自分ひとりでやっているとついつい自分のペースになってしまいます。例えば、筋トレする目標を立てても、自宅でやる場合とジムに行く場合では、モチベーションの持続が全く異なります。仕事においても同様です。同期はこれだけ頑張っているという姿を見ると、自身の刺激につながりますし、成長の原動力になります。
二つ目は、優秀な先輩の仕事のやり方を「見て盗む」ことができなくなる点です。リモート環境では、ほかの人がどのように仕事をしているかがなかなか見えなくなります。オフィスにいると何気に入ってきた、他人の電話の受け答えの仕方、ちょっとした会話などが消えてなくなりました。観察しようにも、仕事の進め方を学ぼうにもその対象が身の回りにいないという事実は、おそらく数年たってボディブローのように効いてくるのではないでしょうか。
人間は元来、そこまで強い生き物ではありません。リモート環境は、”働き方改革”や”目の前にあることに集中する”という側面では良いかもしれません。しかし、人材育成やワンランク上の仕事を身につけるという意味合いで、果たして本当に最適な手段なのかというところは疑問が残ります。
まとめ:君たちの成長が、日本の将来を決める
20年後、皆さんは何歳になってるでしょうか?(私は80歳近くになります…苦笑)
若い皆さん方が、将来の日本社会を支えていきます。つまり、個々人がどれだけ成長できるかが、日本社会全体の成長の鍵を握っていることは明白です。ですから、私は皆さん一人ひとりが、コロナ禍という環境に屈せず、未来の日本を明るくしていく人材になってくれることを心の底から期待しています。