はつメモ#8:殺竜事件(オススメ)
2000年にトンデモない小説が世に現れた。
竜…。それは善悪を超越したもの。
十万もの勇者、千万の軍を以てしても倒す事の
出来ぬ、無敵にして不死身の存在。
その万物の王たるに等しき竜が、
完全に閉鎖された場所で刺殺された。
不死身であるはずの竜は、
誰に、何故、どのようにして殺されたのか。
著者はあの"ブギーポップ"で賞を獲り、ライトノベルの世界に新しい価値観を生み出した上遠野浩平氏。
イラストは女神転生やペルソナで有名な悪魔絵師、金子一馬氏。
2人が描く新境地は
「ミステリーとファンタジーの融合した世界」
この情報だけで当時20歳の僕の胸は高鳴ってた。
後に「戦地調停士」と謳われるシリーズの記念碑的第1作目が殺人事件ならぬ、殺"竜"事件である。
巧みな話術と謀略によって戦争や国際問題を交渉によって収める戦地調停士のエド。
風の騎士の2つ名を持ち、その名を聞けば怖気付くとまで称される英雄ヒースロゥ。
若くして特務大尉に抜擢された才女、レーゼ。
この3人が事件の謎を解き明かす為に世界各地を奔走する。
その刻限は僅か1ヶ月。
それまでに解決しなければエドの命が無い。
死の呪いを掛けられた彼は仲間と共に冒険と推理の旅に出る。
…とまぁ、物語の概要と煽りはこんなカンジです。
これまでライトノベルを語らなかった自分ですが、それはコレを書くのに時間が掛かっていたからで……。
最初に紹介するのはコレと決めていました。
それくらい自信を持ってオススメしたい小説。
この作品の素晴らしい所は絶妙な描き方のバランスにあります。
ミステリー小説にあるアリバイや推理パートもあれば、ファンタジーらしい闘いや生活様式、人間関係に国家間問題がある。
そのどちらにも大きく振り切らず見事にファンタジー世界で冒険推理モノを描いている著者のチカラはもちろん、練り込まれた世界観、用語、設定が何より脱帽です。
僕自身当時はシナリオライターへの道を模索して、書いては監督や脚本家、演出家に作品を見てもらう活動をしていた(もちろん業務外)ので、相当な影響を受けていました。
転職の時に「好きな本をプレゼンする」と云う課題を与えられた時にこの作品を選んだくらいです。
本作はシリーズなので何作か続いています。
その辺はいいとして、ライトノベル好き、アニメ好き、マンガ好きならこの殺竜事件だけでも読んで欲しいです。
今から20年前と云うのは関係なく。
昨今、再アニメ化の波もあり著者のブギーポップが近年アニメ化されておりました。
僕はこの戦地調停士シリーズもアニメ化するんじゃないかと…割とニッチだが骨太なストーリーテリングは今こそウケるのではないかと思ってます。
竜が殺された経緯についても「そう来たか」と確実に思われるでしょうし、その辺の語り口が探偵小説の金字塔シャーロックホームズシリーズに敬意を表して踏襲しているようにも思える。
表現が稚拙で申し訳ないのですが、是非お読みになってくださいませ。
読んで損は一縷もない作品です。