私が大型書店を愛する理由
書店の高揚感
大型書店に足を踏み入れた時の高揚感と、
図書館で感じる静謐な雰囲気。
同じ「本」を扱う場所でありながら、
そこで抱く感情の質が大きく異なることを、
私はずっと不思議に思っていました。
大型書店に入った瞬間、心臓がちょっと早くなります。
目の前に広がる本の海。
「あ、この本欲しかった!」
「こんな本あったんだ!」
とワクワクが止まらない。
気づけば、両手いっぱいに本を抱えている自分がいます。
新刊コーナーの輝き、
文庫本コーナーの親しみやすさ、
専門書コーナーの威厳。
それぞれが異なる魅力を放ち、私の好奇心をくすぐります。
図書館の静けさとその違い
一方、図書館では...。
私の図書館の利用方法はとてもシンプルです。
ほとんどの場合、事前に家でネットで予約して取りに行くだけ。
滞在時間はわずか5分ほど。
たまに時間があるときは図書館を一周してみますが、
不思議なことに全然読みたい本に出会えない。
同じ「本がある場所」なのに、この違いは一体なぜなのでしょうか。
静かな空間をゆっくり歩き回るものの、
書店で感じるようなワクワク感はなかなか湧いてきません。
なぜ、この違いが生まれるのか
考えてみました。
おそらく私は、本を読みたいという気持ち以上に、
別の何かにワクワクしているのかもしれません。
厳選した本を家に並べる満足感。
自分の価値観を反映した選択への自信。
理想の自分に近づく一歩を踏み出した気分。
そういった感情が、書店での高揚感を生み出しているのではないでしょうか。
なぜ図書館ではこの高揚感が薄いのか。
それは、図書館の本は
「借りるだけ」
だからかもしれません。
家に持ち帰っても、いつかは返さなければいけない。
だから、完全に「自分のもの」にはならない。
つまり、書店で感じるワクワクは、
「読みたい」
という気持ち以上に、
「持ちたい」
「自分のものにしたい」
という欲求が大きいのかもしれません。
また、私の図書館の利用方法も影響しているかもしれません。
効率を重視するあまり、
本との偶然の出会いを楽しむ機会を逃しているのかもしれません。
本棚は夢の貯蔵庫
自宅の本棚を眺めてみると、そこには
「理想の自分」や
「なりたい自分」が
詰まっていることに気づきます。
成功したい自分を映す自己啓発本。
もっと教養を身につけたい自分を表す古典文学。
人間関係を良くしたい自分を示すコミュニケーション術の本。
新しい趣味を見つけたい自分を表現する様々なジャンルの入門書。
本棚は、私たちの夢や希望、そして理想を映し出す鏡なのかもしれません。だからこそ、
本屋さんであんなにワクワクするのでしょう。
新しい本を手に取るたびに、自分の可能性が広がるような、そんな気持ちになれるから。
「読む」ことの本当の意味
でも、ふと立ち止まって考えてみます。
本当に大切なのは、本を「持つこと」でしょうか?
確かに、本を買って所有する喜びはあります。
でも、本当の喜びは「読むこと」にあるはずです。
図書館の本でも、書店で買った本でも、
私たちの人生を変えるのは、
その中身であり、読んだ後の自分の変化なのです。
一冊の本との出会いが、新しい視点を与えてくれたり、
心に響く言葉に出会えたり、
あるいは自分の考えを深められたり。
そんな体験こそが、本を読む本当の醍醐味なのかもしれません。
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