心の糸は唐突に切れる
4/3、僕の心は限界を迎えた。
確定決算期で多忙を極め、業績UPに血眼になる営業が持ってくる仕事や書類は不備だらけで、
そのしわ寄せを喰らい、何故か間違えた張本人から理不尽にキレられ、地獄を見た3月下旬から4月の頭。
同じ職場で出会った彼女がいる。
辛い環境下でも頑張れたのは彼女の存在が大きいし、僕よりも芯があって、劣悪な環境下でもめげずに頑張り続ける彼女の姿は憧れですらあったかもしれない。
けれど同時に見たくないものまで見えてしまう。
イレギュラー対応をしつづけて心をすり減らしていく中、楽しそうに別の同期と話している彼女の姿。
別に他意なんてなくて、ただたまたま話していただけ。それが自分ではなかっただけ。
それだけの事なのに、あの日半年間かけてほつれていった心の糸はプツンと切れてしまった。
仕事で手一杯になっていたところに、その光景を目の当たりにしてしまった僕は妙な孤独感と絶望感に駆られ、呼吸が乱れてしまった。
10分ほど過呼吸になっていただろうか。
他人に興味などなく、己の進捗だけが重要だとするあの部では体調不良になった人の心配以前に、そもそも気づきすらしない。
ようやく通りすがりの先輩が気づいて、救護室に運ばれそのまま早退。
翌々日、心療内科を予約し診察を受けた。
抑うつ状態、不眠、食欲不振、適応障害の手前まできてしまったらしい。
ほとんど会話のない職場で、話しても仕事の進捗だけ。
7月に異動してきてから半年近くで担当の仕事量は3.5倍になった。にも関わらず残業は2時間固定。
1番頼りにしていた先輩は1月に辞めてしまうし、OJTは席替えで遠くへ行ってしまった。
そもそも希望の部署ではなかったのも大きい。
来て欲しいと言われ、異動前提でOKをしたのが大きな過ちだった。
年間離職率50%を超えている(1個上の先輩談)トンデモ部署が、1度入った人間を手放すわけが無い。
限界が来る前に相談すればよかったじゃないかと思うかもしれない。
相談は何度もした。部の方針に関して異を唱え、業務量が多すぎるのに効率が悪いことも、マニュアルがなくて新人の教育がOJT個々人の技量に依存していることも、そもそもコミュニケーションを取る気がある人が少ないことも、その中で徐々に疲弊し限界が近いことも。
その度に
「全力を出せば、なにか気持ちの変化があるかも」
「私も昔は辛かった。」
「まだ1年。まだまだやっていないことがある。」
僕の現状など、部長の目には映っていない。
昭和のスポーツ根性論だけを展開し、まくし立てる部長の姿は真っ黒な影に見えた。
仕事で追い詰められると、プライベートまで支障が出る。
普段なら見過ごせた彼女と同期の会話の場面も、限界が近いと地獄に見えた。
なにもかもが都合の悪いものに見えてしまう。
自分の心の状態による誤った認識で発生している問題だから、なるべく心の内に秘めて、迷惑をかけまいと思っているが、どうすればいいのかよくわからない。
窮鼠猫を噛むというが、噛み付く先が自分の心だと追い詰められればられるほど状況は悪化する。
鬱だとか抑うつ状態だとか適応障害の1番良くないところはそういった負のスパイラルから安易に抜け出せないところかもしれない。