スキルの習得を無意識に任せてみよう
こんにちは、まぐろです。
最近映画の感想をサボって脳が認める勉強法のnoteを書いていますが、それももう後半にさしかかっています。
後半のテーマはまず無意識の話から始まります。何かを身につけるのに何も考えないってどういうこと?と僕も思っていましたが、僕らが思っているより僕らの脳は働き者のようです。というわけで今回はそんな脳の力を借りて無意識を使うテクニックを紹介します。
PLMで無意識さんに頑張ってもらおう
PLMっていうのは「知覚学習モジュール」を略したものです。簡単に説明すると4択クイズみたいなものですが、クイズではありません。クイズと違う点は「勘で答える」というところです。直感で何も考えずに答えるんです。
フィリップ・ケルマンの研究
ホントに効果あるの?と思うかもしれません。僕は思いました。なのでそんな人のために発明した認知心理学者フィリップ・ケルマンさんのエピソードを紹介します。
ケルマンさんは飛行機の操縦を習っていました。飛行テストに向けて勉強したり、インストラクターとの飛行をするにつれ、飛行機の操縦は知覚と行動がほぼすべてだと痛感するようになりました。すなわち反射神経がものをいうのです。
空に出るとインストラクターはケルマンさんに気づけない様々なことに気づけるといいます。
インストラクターには、機体と着陸予定地点の角度、 つまり、飛行経路と地面の角度が本当に見えている。生徒には全く見えない。そういう、感覚で感じ取らないといけない状況の多くにおいて 、ベテランには一瞥で理解できることが、 初心者にはほぼ見えない。
視覚の専門家であるケルマンさんは、この技術を早くつかめるコツはないだろうかと考えました。計器が示す意味がわかれば、他のことに集中できます。
そこでPLMを作ったわけです。下の図のような画面が出てくるプログラムです。
おそらく、これを見れば何をしているかわかると思いますが、まさに7択クイズです。
1994年にメアリー・K・カイザーとともにテスト運用を行いました。被験者は、航空機操縦訓練を一切受けていない初心者10人と、500から2500時間の飛行経験のあるパイロット4人です。
PLMで24問解くことを1回の訓練都市休憩を挟んでそれを9回行った。被験者の前の画面には計器パネルと七つの選択肢が表示される。被験者が答えを間違えれば(初心者は最初よく間違えた)、画面からブザー音が流れて正解が表示される。正解した場合はチャイム音が流れる。その後次の問題として新しい計器パネルが同じ七つの選択肢とともに表示される。
クイズのゲームやってる感覚ですね。
1時間が過ぎると経験豊富なパイロットの成績も改善が見られた。判断を下すスピードと精度が上がったのだ。初心者たちの点数は飛躍的に向上した。1時間後には、平均1000時間の飛行経験を持つパイロットと同程度のスピードと精度で判断できるようになった。つまり、地上にいながらにして、しかも1/1000の時間で同等の判断力が身についたのだ
これ、かなりえげつない結果ですよね。実際は飛行訓練も積まなければいけないとはいえ、計器の判断が1時間でできるようになってしまったわけです。
このあとも航法技術をはじめとする、いろいろなスキルで実験したみたいですが(このグラフはどの方程式か?などのPLMもあったみたいです)、全て同じような結果になったそうです。
航法技術の訓練をPLMで適度に行った後に大きな改善が見られたことから、PLMを使った訓練を実施すれば、航法をはじめ、訓練が必要な様々なことの習得のスピードアップ化が望めると思われる。
つまりフラッシュカードの勉強とかは結構効果があるってことですね。しかもこの結果を踏まえると、覚えよう!とか強く思わなくても(思っているとやる気は出ますが)、できるようになるよってことですね。さらに、ランダムに出題するとインターリーブも使えそうです。
何より、ぱっと見で数学のグラフがわかるようになったというのが何より驚きです。三角形の合同条件とかでやってもよさそうですよね。
このクイズを作るのに若干のめんどくささがありますが、作ってしまいさえすればしばらく使えるわけですし、誰かにやってもらうのもありかもしれません。ランチをごちそうして友達に手伝ってもらいましょう。
ということで無意識を使ってスキルを身につけよう!の回でした。僕もクイズ作ってきます。