拝啓 動画系サブスク様
Netflix様またはHulu様もしくはAmazonプライム様
拝啓 初秋の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます。
今日も多種多様な動画を提供くださりありがとうございます。
私の子育てライフに貴方様方のお力添えなくしては、成り立た無い毎日です。
ひとたび再生ボタンを押せば、その求心力で息子の興味を独占し、自動で流れる次のストーリーに彼は私の存在を忘れたかの様に食い入るように見つめています。
寂しさを感じつつも、そのおかげで私は食事の準備をすることが出来、トイレに行くことが出来ます。本当に有難いと思っています。
己が疲れた時、自分の時間が欲しいために、動画を見ていてくれまいか、と思う事さえあります。
それなのに身勝手な私は、自分に余裕が出来ると、動画では無く、他のことに目を向けて欲しいと思ってしまうのです。
動画を見るより、絵本を読んで欲しい。
動画を見るより、ブロックで遊んで欲しい。
夏の暑い時は外に出る事さえ私が億劫だったのに、涼しい風が吹いた途端、公園で走り回って欲しいと思ってしまうのです。
そして願い叶って公園で走り回った後、疲れ果てた私は、また貴方様に頼ってしまうのです。貴方様から離れ自分から望んで疲れたというのに、また貴方様に甘えてしまう未熟な私をお許し下さい。
きっとこれからも程良い距離を模索して、時に近づき過ぎて突き放してしまう事もあるでしょう。近づきすぎると嫌な面も見えてしまうものですから。
それでも私たちの生活になくてはならない存在なのです。今日も彼は小さいリモコンを持ってきては、可愛い顔で動画を見せろと迫るでしょう。それに抗うことが出来ない時もあるのです。引き続きお力添えいただけましたら幸いに存じます。
末筆ながらますますのご活躍をお祈り申し上げます。
敬具
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