見出し画像

【書籍レビュー】#08 「ツミデミック」 一穂 ミチ 著

 それは果たして罪だったのだろうか。

 生きていくためには、仕方がなかった。自分を守るためにした行動は、誰かを傷つけてしまうかもしれない。だが、生きていくには仕方がなかった。

 追い詰められ、悩み、死すら意識する状態では、人間の行動は異常であったとしても、それを選択せざるを得なくなる。つまり、善悪のハードルがグッと下がってしまうのだ。
 
 これらのショート・ショートが連なる本作は、「生きき続けるためには?」と問うてくる。
 特に流行病が世界中に蔓延し、各々が抱えた悩みや葛藤が他人事のようには思えない。

 流行病が落ち着いてきた今日。冷静にあの時代と当時の狂気を見つめるためにも、読んでおきたい一冊。
 
 あなたは「生きるため」になにを選択しますか?


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集