お茶農家の年間スケジュール
こんばんは。
今回は、お茶についてお話しします。
お茶について
お茶は熱帯性、多年生のツバキ科の植物です。緑茶も紅茶も烏龍茶もすべて同じ茶葉からつくることができます。言い換えると収穫したあとの加工の違いであれだけの味の差が生まれてきます。
しかし、どの品種の茶葉でも紅茶や緑茶、烏龍茶はつくることができますが、それぞれのお茶に適した品種があります。
お茶の品種は大きくわけてアッサム種と中国種の二種類あります。アッサム種はインドやスリランカ、ネパールなどで栽培されている品種で、茶葉が柔らかく、酸化作用が非常に強いため、紅茶にむいています。
一方で中国種は茶葉がしっかりしていて緑茶にむいています。日本で栽培されているのは主に中国種です。
茶園管理スケジュール
つぎに、とあるお茶農家の茶園管理についての紹介と、お茶農家の苦境についてお話しします。
※今回の茶園管理のスケジュールは、あくまで一例です。
1月 下旬 春肥1回目
2月 上旬 殺菌剤
中旬 殺虫剤(クワシロカイガラムシ)
下旬 春の園揃え(古葉混入防止)
3月 中旬 春肥2回目
下旬 殺菌剤(ダニ)
4月「一番茶摘採期」 上旬 芽出肥(速効性:硫安など)
中旬 被覆、摘採、二番茶肥
5月 上、中旬 殺虫剤(チャハマキ)、殺菌剤(炭疽病)
下旬 被覆
6月「二番茶摘採期」 上旬 被覆、摘採
中旬 三番茶肥
下旬 殺菌剤(炭疽病)
7月「三番茶摘採期」 上、中旬 摘採
下旬 殺菌剤(輪斑病)
8月 上旬 秋肥1回目(有機質)
中旬 土壌改良(石灰など)
下旬 殺虫剤(チャトゲコナジラミ)
9月 上旬 秋肥2回目
中旬 殺菌剤(網もち病)
下旬 深耕
10月「秋番茶摘採期」上旬 摘採、秋整枝
11月 中旬 殺虫剤(チャトゲコナジラミ)
12月 ~~ 凍害対策
・茶葉摘採1、2、3、秋冬番茶の場合の年間スケジュール
・その他、一年を通して圃場の草刈り、除草管理
お茶の収穫について
一番茶から三番茶までは、
茶葉摘採したら肥料を与えて、一ヶ月後に再び茶葉摘採をする
という形になります。また、お茶の収穫は春や秋などの比較的過ごしやすい時期に行われます。
茶葉は、主成分であるカフェイン・カテキン・アミノ酸は、新芽の成長とともにはじめは増加します。しかし、葉が硬化して芯芽が止まる状態になると急激に減少し、繊維が増加して品質の低下につながります。一方で時間がたつにつれて量は増えてきます。
茶葉の収穫のタイミングは、一般に新芽が3から5枚でてきたときがもっとも良い、とされています。
苦境について
苦境についてです。あくまで一例としてあげています。その他にもあると思いますし、一方で間違っているものもあるかもしれません。
①市場価格の下落
お茶の取引価格は年々減少しています。
②肥料、農薬費用の負担
肥料はもちろん、茶葉に複数の病気や害虫がついて被害をもたらすため、農薬が最低限必要になります。お茶の取引価格が減少することで絶対的な収入が減少している一方で農薬や肥料の価格は変わらないため、それらの費用の占める割合が増加しています。
③消費量の減少
日本食ブームがきているなか、緑茶の一人あたりの購入金額は平成のはじめをピークに年々減少しています。また、一人あたりの購入量も年々減少しています。
一方で茶系飲料の消費量は年々増加しています。茶系飲料とは主にペットボトルのお茶のようなものです。これらに使われている茶葉はかなり価格が安いため、価格の下落に拍車をかけています。
お茶の利用法
お茶の利用には主に
①飲料用としての利用
②食用としての利用
③茶葉の成分の利用
の3つがあります。食用については、お茶をチョコレートのなかにいれたり、お菓子にいれたりするのを想像すればわかりやすいです。一方で茶葉の成分の利用については、茶葉の消臭効果や殺菌効果を利用した商品があります。
苦境を脱却するには
苦境を脱却する方法をいくつかあげていこうとおもいます。苦境を脱却するには、他のものとは異なるものをつくる必要があります。いわゆる、差別化、です。いまからあげるものにはすべて差別化の概念が入ってきます。
①品質を他のものよりも向上させる
例えば、
1.肥料として有機肥料をメインに使う、
2.農薬を使わないあるいはもっと減らす、
3.茶園の環境を改善する、
などです。それぞれ、実行できれば十分売り上げに繋がると思いますが、デメリットもあります。
1.有機肥料は効果がでるのが遅く、また、バランス調節が難しい。
2.農薬をまわりの農家が使用していると風にのって付着してしまうため、まわりに茶畑のない茶畑でしか実行できない。
3.茶園の環境を改善するとは、茶のみね?をひとつおきになくして、茶どうしの間隔を開けることで通気性をよくして病気の蔓延を防ぐことを狙いにしています。しかし、それだけ収穫量が減少してしまいます。
②6次産業化をする。
6次産業化とは農作物の栽培から加工、販売までを一貫して行うことです。付加価値をつけることで収益性が上がりますが、その分、自分達で販路を確保しなければならず、また、ブランド化をできるか否かでも収益におおきな差がでることがあります。
③お茶の料理教室、自宅でつれるセット、オンライン茶会などを行う。
地道な努力にはなりますが、少しずつでもお茶の魅力を伝えることができればいつかは山となります。
④海外に販路を拡大する
日本のお茶はいま海外でも人気です。このお茶を海外に広めることができれば収益に繋がります。しかし、今回のコロナウイルス然りで、リスクもその分大きいです。
⑤転作する
もはや最終手段になります。お茶よりも売れるものへとシフトすることです。あまりしたくはないです。
まだあると思いますが、今回は以上です。
収益収益とかいてありますが、結局はその人がお茶についてどれだけ思い入れがあるか、関心があるかが大事になるとおもいます。