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「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。

小川たまか 2018 タバブックス

2016年から2018年にかけて。
私が意識してTwitterから見える社会を見ようとしてきた時期と、ちょうど重なる。
もしかしたら、著者の人と同じツイートを読んだりしてきたのかもしれないし、知らず知らずのうちに著者の記事を読んでいたこともあった。
この2年。たった2年であるが、目次に時系列に並べられたトピックを見ると、もっとはるかに時間が経ってしまっているような気がする話題もある。
どれだけの情報に、自分は押し流され、押しつぶされているのだろう。

性暴力はある。とても身近なところにある。
性差別もある。毎日のように押し付けたり、押しけられたりしている。
感じている人は気づいているけど、気づいていない人は感じもしない。
そんな風に「ほとんどない」ことにされているのが、性と関わるいくつもの問題なのだ。

私にとっては問題であるけれど、そんなことで…と問題にされないことが多い様々な日々の話題を、信頼できる友人と話すような気分で読んだ。
そこに引っかかる自分の感性をおかしいと思わずに済む。ここにも、ひとり、感じている人がいることがいることに、ほっとする。
考えや体験がまるきり同じなわけがないけれど、ほとんどないことにされやすいけど、やっぱりあるんだよね。
あるけど、ほとんどないことにされたりするんだよね。
その失望感や絶望感が、やっぱりねという再確認と共に、読後、ずっしりと襲ってきた。

女だというだけで、どれだけ、なかったことにされないといけないのだろう。
このこころは。

その溝を確めるために、是非とも読んでもらいたい本だ。

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香桑
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