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【差別】「女性の権利」とは闘争の歴史だ。ハリウッドを支えるスタントウーマンたちの苦悩と挑戦:映画『スタントウーマン』

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女性はいつだって、闘いによって権利を勝ち取ってきた

ハリウッドの「女性スタント」に焦点を当てた映画

この映画は、ハリウッド映画で活躍する「女性スタント」をテーマにしたドキュメンタリー映画だ。

大体どんな世界も昔はそうだろうが、スタントも男性優位の世界だ。その中で彼女たちがどのような闘いを繰り広げて今の地位を作り上げていったのかが描かれていく。その辺りのことはこれから詳しく書いていくが、まずこの映画を観て改めて感じたことを書こう。それは、「女性スタントの方が危険」ということだ。

何故なら女性は、露出の多い服を着なければならないからだ。

男性スタントは体中パッドばっかり

女性スタントの一人がそんな風に揶揄する場面がある。男性は、肌を露出しない衣装であることが多いため、膝や肘などに保護パッドを付けることができる。しかし女性の場合、そうはいかない。スタントの危険性を考慮して判断になるのだろうが、恐らく多くの現場で女性たちは、保護パッド無しでのスタントをやらざるを得ないのだと思う。

また、ヒールの高い靴や、身体に密着して動きにくい服装など、女性の方が制約の多い中でスタントを行わなければならない。だからこそ、より高度な技術を持っていなければならない、ということになるだろう。

このような点についてはあまり意識したことがなかった。というか、そもそも僕は、「人間がやるには危険なシーンはCGなんだろう」と考えていた部分がある。だからこそ、ハリウッド映画を観ても、「さすがにCGだろう」という風に捉え、あまり深く考えたことがなかったのだと思う。

想像以上に、人間が実際にスタントを行っているのだと知って、その点にも驚かされた。

彼女たちの二重の闘い

映画では、彼女たちがどのような訓練を行い、実際にどのようなスタントを行っているのかが描かれ、語られる。

その姿は、とてもカッコイイ。

武術を学ぶ者。高いところから飛び降りる訓練をする者。車やバイクを巧みに操る者。まさに「プロフェッショナル」と呼ぶべき存在だ。怪我や死の危険がありながらも、自分の仕事に誇りを持ち、後進のために真っ当な環境を用意してあげたいと奮闘する彼女たちは勇敢である。

しかし彼女たちの闘いは決してそれだけではない。

今でも女のスタントを見下す人はいる。全員じゃないけど。だから新しいクルーと組む時はいつも、実力を見せつけることにしてる

類まれなドライビングテクニックを持つ女性スタントが、そんなことを言っていた。未だに、「女だから」というだけの理由で見下したり差別したりする男がいるようだ。

そもそも映画業界が男性社会だという。女性も当然いるのだが、「スタント」に限ると女性の数は圧倒的に少ない。当然偏見もあり、未だに女優のスタントを、カツラを被った男性が演じることもあるそうだ。そういう時彼女たちは「力不足」と感じるという。当然だろう。

様々な女性スタントたちが、現場で男性に言われたことを思い起こす。

危ないからやらせられない

結婚したら使ってもらえないよ。子供が出来たらなおさらだ

泊まりの仕事を断ったらもう仕事は来ないよ

スタントというのは確かに危険な仕事であり、チーム全員の安全のために、技術の劣る者にやらせるわけにはいかないのは当然だろう。しかし、「女性だから劣っている」「男性だからできるはず」という考えはやはり異常だ。一般社会は表向き、その異常さを手放そうとしているが、古い体質の映画業界ではまだまだ変革が追いついていない、ということだろう。

かつて映画業界は女性が支えていた

映画を観て意外だと感じたことは多いのだが、アメリカでの映画黎明期の話は印象的だった。

1910年頃から、アメリカの西部では映画制作が盛んに行われており、そこでは、女性や移民が活躍していた。映画の中で、白黒の映画のワンシーンも流れた。それは、走行する列車から振り落とされそうになっている女優を映す場面だが、そのシーンはスタントなどの代役を立てるのではなく、女優本人が実際に行っているのだという。

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