【驚愕】ベリングキャットの調査報道がプーチンを追い詰める。映画『ナワリヌイ』が示す暗殺未遂の真実
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映画『ナワリヌイ』には驚愕させられっぱなしだった!ベリングキャットの調査で明らかになった「驚きの暗殺計画」とその後の展開
とんでもない作品だった。私がこれまでに観たドキュメンタリー映画の中でも、「ずば抜けてぶっ飛んだ真実」が明らかにされる作品だなと思う。しかも、かなり最近の出来事であり、なんなら現在進行形の話だということにも驚かされた。フィクションの映画だってこんな展開を用意したりはしないだろう。使い古された言葉ではあるが、「現実は小説より奇なり」だと改めて思い知らされた作品である。
中でも圧巻だったのは、後で詳しく触れるが、「アレクセイ・ナワリヌイがカメラの前で電話を掛ける場面」だろう。これこそまさに、「フィクションでこんな場面を描いたらリアリティに欠けると非難されるようなシーン」じゃないかと思う。まさにそんなことが、現実の出来事として起こってしまっているのだ。こういう作品に出会えるから、ドキュメンタリー映画を観るのを止められないなと思う。
ドキュメンタリー映画に対する感想としては適さないかもしれないが、本作に対してはとにかく「ワクワクさせられた」という感想が一番強い。不謹慎だと感じる人もいるとは思うが、しかし、「暗殺されたかけた本人」が楽しそうに真相究明をしている様を映し出す作品なので、これぐらいの表現を使っても許されるだろう。
私は、いつものことだが、観る前の時点では内容について何も調べていない。本作で描かれる事件は、ニュースでなんとなく見たような記憶もないではないが、そうだとしてもほぼ何も覚えていなかった。また作中には、「ベリングキャット」という調査集団に所属する人物が出てくる。そしてこのベリングキャットだけは、テレビ番組で特集が組まれているのを見たことがあり存在を認識していた。しかし私は、彼らがこの案件に絡んでいたことも知らなかったのである。
そういうことも相まってだろう、作中で映し出される様々な”衝撃的事実”に、私はとにかく圧倒させられてしまった。
さてそんなわけで、本作を観る際は、何も知らないままの方が新鮮な驚きを感じられるのではないかと思う。なので、まだ映画を観ていないという方は私の文章など読まず、今すぐ本作を観てほしい。ウクライナ侵攻によって、ロシアがどのような国なのか改めて認識できたという人も多いと思うが、本作『ナワリヌイ』も、そのような感覚をもたらす作品と言えるだろうと思う。
映画公開時点で実は、本作中の主要な情報は既に公開されていた
映画を観る前の時点で「アレクセイ・ナワリヌイ」という名前はどこかで耳にしたことがあったと思うし、同じ人物だと認識していたかは怪しいが、「ロシアで誰かが毒物で暗殺されかけた」みたいなニュースを目にしたような記憶もある。しかし知っていたのはその程度の知識だった。
だから、彼が「登録者数の多いYouTuber」であることも知らなかったし、もちろん彼の動画も見たことはない。
さて恐らくだが、本作は元々YouTubeで配信することを目的にずっと撮影が行われていたのだと思う。そして、冒頭で少し触れた「電話のシーン」を撮り終えたことで調査は一段落となったのだろう、彼らは調べた情報をすべて発信することにした。自身のYouTubeチャンネルだけではなく、世界中のメディアにも情報を流したのである。それが、2020年12月14日のこと。つまり、本作で描かれる最も重要なポイントは、既に公開情報になっているというわけだ。なのでこの記事では、あまりネタバレ的なことを気にせずにあれこれ書いていこうと思う。
しかし私は、恐らく世界中を騒がせただろうこの調査に関する報道に触れた記憶がない。たまたま私が知らなかっただけなのかもしれないが、それなりにニュース番組やネットニュースは見ているので、日本で報じられていたら何かしらで目にしたはずだとも思う。まったく報じられなかったなんてことはさすがにないだろうが、あまり大きな扱いではなかった可能性はあるだろう。
いずれにしても、このような海外のニュースをキャッチアップ出来ていなかったことに気づいた時にはよく、「ある程度英語を読めるようになっておかないとな」と感じる。私の場合、外国人とコミュニケーションを取りたいとかではないので、「話せる能力」は別に要らないのだが、英語記事をスラスラ読めたり、あるいは英語の動画・音声をスラスラ聞き取れたりする力は欲しいなと思う。そういう力が無いと、日本語に翻訳されるまで情報を得られなくなるからだ。英語は決して苦手ではないが、決して得意とも言えない。せめて「読む」という点をもう少し強化したいところである。
今回、映画『ナワリヌイ』が日本公開されたからこそこのような知識に触れられたわけで、とにかくそこで描かれる「事実」には驚愕させられてしまった。本作を観ると、ナワリヌイの凄さにも圧倒させられるだろうが、やはりそれ以上に、ロシアのヤバさに衝撃を受けるのではないかと思う。もちろん、「ロシアはヤバい国なんだろう」と漠然と考えてはいたが、そんな想像をあっさりと塗り替えるヤバさが描かれており、とにかく驚かされてしまった。
アレクセイ・ナワリヌイとは一体何者なのか?
それではまず、「アレクセイ・ナワリヌイはどのような人物なのか」という話から始めよう。
本職は弁護士なのだが、彼を紹介する上で重要なのは、「ロシアの大統領選に出馬しようとしている」という事実の方だ。ある外国メディアはナワリヌイについて、「世界一危険な選挙戦に出馬しようとしている」と報じたことがある。その理由は容易に想像できるだろう。プーチン一強と言うべきロシアにおいて、彼を脅かすような存在がどう扱われるかは火を見るよりも明らかだと言える。
彼は選挙に先駆けて、ロシアの腐敗政治を批判し、プーチンやクレムリン(本来は建物の名前だが、日本の「永田町」と同様、「ロシア政府」を意味する言葉として使われている)を「泥棒」と呼んでは民衆を扇動していく。その人気は絶大で、ひとたび集会を開けば大勢の人が集まるし、YouTube上でも政府批判を展開することで登録者数は640万人以上に達している。凄まじい発信力を持つジャーナリストという一面もあるのだ。
もちろん、そんなナワリヌイのことをプーチンが放っておくはずもない。そもそも彼がネットに活路を見出したのは、新聞・テレビから締め出され、さらに集会を開くことも禁じられたからである。あらゆる手を使ってナワリヌイの口を封じようとするプーチンに対して、あらゆる手を使って発信の場を確保しようと努力し続けてきたというわけだ。
プーチンにとっては当然苦々しい存在であり、だからクレムリンにおいては「名前を口にすることさえタブー」とされているのだという。記者会見などでアレクセイ・ナワリヌイに言及せざるを得ない場合でも、プーチンは「今話題に上がった人物についてだが」「ドイツで治療を受けている男については」など、個人名を一切使わずに話をするくらいなのだ。意識していることがバレバレだと思うのだが、もはや意地なのだろう。
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