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【恋愛】おげれつたなか『エスケープジャーニー』は、BLでしか描けない”行き止まりの関係”が絶妙
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「友達のままでいる」という選択肢もある中、さらなる一歩を踏み出せるか?男同士の恋愛だからこそ深掘りできる関係性を描く『エスケープジャーニー』
私は、女性の友人が腐女子であることが多く、彼女たちに教えてもらいながらBL作品に多少触れてきました。女性と同じ目線で読めているとは思っていませんが、私は私なりにBLの面白さを見つけて、結構楽しんでいます。ちなみに、私の性的指向は、「男として女性が好き」です。
「恋愛だと上手くいかない」という感覚
まず、物語の設定だけざっと紹介します。高校時代、直人と太一は付き合っていました。しかし、その後最悪な形で別れることになります。そして大学生になった現在は、「友達以下」としか言いようがない関係になってしまっているというわけです。
直人は、太一との関係についてこんな風に振り返ります。
俺と太一は、恋愛を挟むとうまくいかない2人だった。
私がこのマンガにグッときたのは、直人のこの感覚が私の中にもあるからです。
私の場合は「女性との恋愛」の話になりますが、感覚としては直人と同じで、恋愛だとどうも上手くいきませんでした。恋愛関係になった方とは、別れた後も連絡を取ったり会ったりするような関係になれるのですが、そういう状態の方が私としてはとてもしっくりきます。「好きだ」と思っているのですが、恋愛にすると上手くいかず、恋愛を挟まない場合の方が良い関係になれるという感覚があるのです。
こういう話をたまに誰かにしてみると、「まだ『本当の恋』と出会っていないんだね」というような反応が返ってくることがあります。ただ、「上手く行かなかったから、それは『本当の恋』ではない」という判断に、私はどうも納得でききません。「結果として上手く行った恋が『本当の恋』である」と判断しているとしか思えないからです。私はどうしても、「そういうことではないんだよなぁ」という気分になってしまいます。
男同士で、普通じゃなくても、今まで通り楽しくやっていけると思ってたから。でも、だんだん太一と一緒にいることが楽しいとは思えなくなっていった。
私も直人と同じで、嫌いになったとか飽きたとかではなく、「一緒にいるのがしんどい」みたいな感覚になってしまうのです。「蛙化現象」という、「自分が好意を寄せている相手から好意が返ってくると途端に嫌気が指してしまう」みたいな感覚についての知識もあるのですが、そういうことでもなさそうな気がしています。
そんなわけで私は、ある時点から、「女性とは友達になりたい」と考えるようになりました。
女性とは友達になりたいと思う
と…ともだちになりたいの。
私は割と昔から、女性の中に混ざる方が楽な人でした。たくさんの女性の中に男の私が1人混ざるみたいな状況は何度も経験してきたし、そういう状況の方が「呼吸しやすい」という感覚さえあります。むしろ、男の中にいると息が詰まるというか、どんな風に立ち振る舞えばいいのか分からないというか、そんな感覚に陥ってしまうのです。
だから「そのままの関係」、つまり「友達」のままでいる方がたぶん、自分にとって穏やかなのだろうと考えるようになりました。
俺たちは恋人とか友達とか、名前のつく関係にはなれない。どんな名前の関係でも結局はうまくいかない。俺と太一は何にもなれなかった。
私も直人のように、「名前のつく関係にはなれない」という感覚を強く持っています。私の中で「友達」は拘束力の弱い関係性なので大丈夫なのですが、「恋人」や「家族」といった「強い関係性」はとても苦手で、そんな風に名前がついてしまうと、途端に上手く行かなくなってしまうのです。
一方、直人はある場面でこんな風に訴えます。
こえーんだよ。なんか…。。。なんでもいい。名前がつかないと。友達とか恋人とか……家族とかさ。
先に進めないのは怖い。ずっと立ち止まったままいるみたいで。
彼は、「名前がつかない関係」を求めていながら、その状態に恐怖してもいるのです。少なくとも今は、私の中にはこのような感覚はありません。この点が、直人と私の大きな違いだと言っていいでしょう。
ただ、この物語がとても上手いのは、「同性同士の関係の難しさ」を絶妙に描き出しているという点です。それは、直人の次のような恐怖を知ると理解できるでしょう。
女の子は、友達、恋人、それから結婚して家族になる。でも俺と太一は、恋人がゴールで最後だった。友達以上にはなれても恋人以上には絶対なれない。元々恋人の俺達にはこれから進む先の道なんかなくて、戻る道しかない。
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