【憤り】世界最強米海軍4人VS数百人のタリバン兵。死線を脱しただ1人生還を果たした奇跡の実話:『アフガン、たった一人の生還』
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世界最強と評される海軍部隊4人が数百人のタリバン兵と戦闘、たった1人奇跡的に生還を果たしたという衝撃の実話
凄まじい物語だった。本書を原作として、『ローン・サバイバー』という映画も制作されているのだが、もしフィクションだったら、小説でも映画でもとてもリアルには受け取れなかっただろう。
またこの作品では、普通に生きていればまず関わることがない「交戦規則(ROE)」についても触れられる。「『戦争』という現実が持つ『矛盾』」の多くがここに詰まっていると言ってもいいのではないかと感じさせるものだ。
ウクライナとロシアの戦争が続いている現在、そして北朝鮮や中国など近隣諸国との火種を抱えている日本においても、決して無視できる話ではない。「奇跡の実話」という面だけを楽しむことも出来る作品だが、広くは知られていないだろう「戦争のルール」についても理解できる作品だ。
著者マーカス・ラトレルは、何故アフガニスタンへ行き、いかに奇跡の生還を果たしたのか
まずは、本書の大筋の流れに触れていこうと思う。
アメリカ海軍には、「世界最強」と評される<SEAL(シール)部隊>が存在する。そして彼らは、9.11テロを実行に移したタリバンを壊滅させるためにアフガニスタンに派遣された。仲間と4人で、必要な任務を遂行するために日々奮闘している。
そんなある日、彼らを危機に陥れる出会いがあった。山中で羊飼いと遭遇したのだ。
武器を持っているわけではない羊飼いとの遭遇がなぜ危険なのか? それは、その羊飼いは当然、「あそこに米兵がいた」とタリバンに告げるはずと推測されるからだ。今ここでこの羊飼いを見逃せば、4人はしばらく後に窮地に陥ることが目に見えていた。命を懸ける兵士の通常の判断であれば、「羊飼いを殺す」という結論に達するはずだ。
しかし、ことはそう簡単ではない。後で詳しく触れるが、ここに「交戦規則(ROE)」が関わってくるのだ。その中には、簡単に言うと「民間人は殺してはならない」というルールが存在する。羊飼いは明らかに民間人だ。だから、兵士である自分たちがこの羊飼いを殺せば、「交戦規則」に違反してしまう。それは、「戦争」が明確なルールに則って行われるようになった現代において、非常に大きな問題だ。
最終的に彼らは、羊飼いを見逃す決断をした。そしてやはり予想した通り、彼らは絶望的な窮地に陥ることになる。周囲に遮蔽物の一切ない、戦闘にはおよそ不向きとしか言いようがない場所で、数百人のタリバン兵を相手に戦闘を行わなければならなくなったのだ。
その闘いは壮絶なものだった。
本書の冒頭では、<SEAL部隊>がいかに尋常ではない訓練を行っているのかが描かれる。「世界最強」と謳われるのも当然だと感じるほどの凄まじさだ。しかし、そんな彼らであっても、数に押されたらひとたまりもない。タリバン兵も一定の訓練は受けているし、戦術に対する理解もある。4人で立ち向かえるような状況ではないのだ。
生還したマーカスは、その時の戦闘を描写する。親指を吹き飛ばされても、腹を撃たれても、何度崖から落ちても、彼らは闘うことを止めない。
撃っても撃っても、タリバン兵はうじゃうじゃと湧き出てくる。死を恐れずに突っ込んでくる、無限にも感じられる襲来は、彼らを絶望させただろう。どう考えても絶体絶命だ。しかも、彼らが闘っていた場所にはまともな遮蔽物がなかったことも、闘い方を一層困難にする。
そんな状況でも彼らは、とにかく最後まで闘い抜く。その凄まじさに圧倒された。
最終的に、仲間の3人が命を落とす。著者は奇跡的に命拾いした。そこには、強靭な精神力も関係していたと思うが、やはり運の要素もかなり大きかっただろう。
ともあれ著者はどうにか生き延びた。
しかし著者にとっては、まさにここが困難の始まりだったと言っていいだろう。彼は全身撃たれ、あちこちの骨が折れ、体中に激痛が走る状態で、連絡手段を一切持たないままアフガンの荒野に取り残されたのだ。周囲にはまだ、タリバン兵が大勢残っている。彼らに見つかりでもしたら命はない。
普通なら、ここから生還を果たすなどまず不可能に思えるだろう。しかし著者には、幸運に次ぐ幸運が舞い込んでくる。あり得ない奇跡が連続して起こったことで、彼は見事生還を果たすことができたのだ。
まず戦闘で生き残ったことが奇跡だし、ボロボロの身体でタリバン兵に見つからずにかなりの距離を移動できたことも大きかった。また、この記事では触れないが、その後に起こった展開もまさに奇跡と呼ぶしかないものだったのだ。
さらに彼の生還には、<SEAL部隊>のある教えも関係していた。
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