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映画史上最高の活劇『雨に唄えば』スタンリー・ドーネン&ジーン・ケリー監督(1952)

やはり音楽とは良いもんですねえ。
こころの底から感動を味わえる。胸の泉が湧き上がり、見終えた時の高鳴りや、身体をはしる震えは
”ハァ何て良いものを観てしまったんだろう"
という感情に他ならないでございましょう。
本作はそんな音楽の頂点、身体全身で感じる唄とダンスの芸術が最高潮に達した映画ですね。


あらすじ

サイレント映画からトーキー映画に転換する際の
一大騒動を描いたミュージカル作品。銀幕スターのドン(ジーン・ケリー)は友人のコズモー(ドナルド・オコナー)や恋人のキャシー(デビー・レイノルズ)の協力もありミュージカルで成功を収めようとする。大雨の中、ジーン・ケリーのタップダンスは必見。今尚色褪せず史上最高のミュージカル作品の一つとして数えられている傑作中の傑作。

最高に音を楽しむ映画

とにかく本作は音の楽しさ、喜びをこれでもかと
体現した映画ですよ。フィルム中に、キャメラ上に、画面隅々に、音楽の美しさ・素晴らしさがもう何とも言えんくらい、滲み出ています。
決して言葉では形容できません。映画音楽の真髄。    
ワタクシは[映画らしい映画]とは?という問いに一切の迷いなくこの作品と答えます。
フィルム芸術の結晶の様な映画だから。
役者の表情・ダンスの振付・効果音までもが歓びに満ち溢れている。歌うこと・踊ること・音を楽しむこと。靴の裏、早口言葉、朝の挨拶、そして雨。世の中には素晴らしい音楽で溢れ変えっている。それをいとも簡単そうにフィルムの上でやってのけてしまう。それ程までに本作は[映画]を[音楽]を纏った作品でありましょう。

ミュージック!ミュージック!!ミュージック!!!

やはり本作の見所は雨の中のダンスじゃないでしょうか?大雨のダンスと音楽が見事に合わさっております。雨と戯れてジーン・ケリーが石畳の街角を
ピッチピッチとチャップチャップとタップダンスをするシーンは大雨の美しさ、音楽の華やかさは何度興奮して、心を動かされたことか。
そしてワタクシが個人的に一番好きなシーンは
『ブロードウェイ・メロディー・バレー』という歌に出てくる


踊れ! 踊ろう!!

踊ろう!!!踊られずにはいられない!!!!


と歌うシーンに物凄く深いものを覚えた。とてつもないショックだったんです。
細かい事・小さい事そんな事はどうでもいい。
身体全体で、心の思うがまま・感じるがままに
踊って踊りまくれ!心を全力で震わせろ!

という気がしてなりません。
ジーン・ケリーが画面の向こうのワタクシに呼び掛けている気がしてたまらないんです。

音楽の良いところってそれだろ。
誰にも奪えない。

『ショーシャンクの空に』

まさしくこれなのです。ワタクシが体験したこの場面は誰にも邪魔されない、土足で踏み込めない領域なのだ。この胸の高鳴り・興奮は絶対に侵されることのできない、かけがえのないもの。いつまでも大切にしていきたいです。


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