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ゲームにハマる仕組み「僕らはそれに抵抗できない」

この本は、現代社会にあふれるゲームや動画などのエンタメやスマホやメールなどのツールが、いかにして麻薬的に広がり、依存症を深めていくかに警鐘を鳴らした本である。

しかし、裏を返せば、人を熱狂させ依存させ、ソーシャル縛りや継続率や課金率などを上げるためのノウハウ本としての側面がある。
この本に書かれたテクニックの効能は絶大であり、参考にすべきと考える。

エンタメや最先端の道具がもたらすものは、包丁と同様に、使い方次第で便利な調理器具にもなるし危険な武器にもなることを理解する上でも読む価値はある。事例を物語にして分かりやすく説明されているので、興味がある人は、絶対読むべし!


依存症ビジネスが人を操る6つのテクニック

①目標

ボスまでの道と小目標

「ちょっと 手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標があること」
ボスを倒す前に、小さなタスクやミッションをこなして経験値や武器防具、ゴールドなどの報酬を与える。
小目標+報酬をセットで与えると、プレイヤーはスムーズに階段を上がりやすく、サクサク進むので時間を忘れて次の課題へを繰り返すうちに、ゲームに慣れ没頭していく。

「チュートリアルからの1時間が重要」
特にチュートリアルからいくつかのステージをこなしてボスを倒すまで、1時間ほど熱中させたら、没入感や愛着が湧いてくるので、最初の方の小さな目標設定は重要になる。この辺はlifeTimeの設計やステージごとの想定難度、ステージテーマなどと密接にかかわってくるので、機会があれば、また、メモを残したい。

②フィードバック

ランダムな遭遇や報酬

「抵抗しづらく、また予測できないランダムな頻度で、報われる感覚 (正のフィードーバック)が あること」
何が起こるか分からない期待感でワクワクドキドキさせるテクニック。
ランダム性が熱中度を上げることは、動物実験でも証明されている。
確率でエンカウントするレアな敵(はぐれメタル)やレイドボス、ドロップするアイテムや宝箱、ガチャなどの「クジ引き要素」が射幸心をあおり、ゲームへの熱中を生み出していく。
人は、一度、射幸心に囚われてしまうと、当たりに偽装した外れでも満足して、次は必ず欲しい物が手に入ると思い込んでしまう。

「ローグライクは最大のガチャシステム」
ガチャだけでなく、ローグライクなゲームで、毎回違うランダムに与えられる武器や敵、パワーアップも同じような効果が得られ、リプレイバリューが得られるようになる。

③進歩の実感

レベルアップ

「段階的に進歩・向上していく感覚があること」
これまで苦労して倒していた敵が、簡単に倒すことができるような設計をすると成長が感じられる。新しい武器や能力が手に入ったりもそうだし、弱点をつく属性武器やバフなどでも成長を感じさせることができるが、苦労してボスを倒した次のステージに、今までの強敵を少しだけ弱くしてセットするだけで、プレイヤーに成長を感じさせることが可能になる。

「ABテストで熱中度が高い方を採用する」
プレイヤーが、成長を感じているかどうかや好みなどを、KPIで計測して運用していくことで、よりプレイヤーに寄り添ったサービスを提供できる。

「ビギナーズラックはハマる」
初心者は、中級者や上級者も、より、成長や万能感を感じられるので、ビギナーズラックによる成長を意図的に仕込むのも有効な手段である。

「単純でばかばかしいほどハマる」
最初の敷居が低いことが重要。あまりにも革新的なものだとついてこれないので、今までと似た操作感やUI、アウトゲームシステムに新要素をプラスして最初は丁寧でシンプルな方がハマりやすくなる。

プレイヤーを熱狂的なファンにするためには、最初が肝心!!!

④難易度のエスカレート

難易度

「徐々に難易度を増していくタスクがあること」
人は、成功し続けるよりも、ちょっとした苦難を求めてしまう。
上達は心地よい。上達すると、脳が効率化されていき、快楽が生まれる。
適度な壁が必要なので、想定難易度を儲けてステージ全体の難度設計をしていく必要がある。
例えば1~3ステージまでは徐々に難易度を高くして、ステージ3で壁になるような少し高い難度にして、その後の4ステージ目を3ステージより難度を低くして山を越えた後に成長して強くなったと感じさせるように設計する。

「自力でクリアできたと錯覚させる」
人は、自分で作った物は、他人が作った物より評価が高くなる。
それと同じように、ゲームマスターの出すお題をクリアした時より、自力で方法を見つけてクリアしたと思った方が快感が増す。
与えられた情報を分析して、敵の倒し方を見つけると快楽が増すし、ワンパターンの攻略より、複数パターンから選択したと思う方が自由度を感じて快楽が増す。
例えば、ボスの前に、ボスと同じような行動を取るザコを出して練習させた後に、その攻略の応用をさせたり、明らかに突進してきそうな見た目のボスやトラップをステージに置いたりして、それまでの知見から、プレイヤーが自発的に攻略を思いついたと思わせることが重要。
更に、剣ならヒット&ウェイ、弓ならカバーシューターのように、色々な攻略法を想像させるように作ると、たとえ最適解は決まっていたとしても、より快楽度は上がる。

⑤クリフハンガー

クリフハンガー(崖っぷちの絶体絶命状態)

「解消したいが解消されていない緊張感があること」
ドラマや漫画、アニメなどで、複数の展開を示唆して、結末を想像にゆだねる手法のことをクリフハンガーといい、未完のまま終わることで、次週や次のシーズンにつなげたりするテクニック。
ゲームのストーリー展開でも応用できるが、ボス戦などで、絶体絶命の状態で、回復アイテムを出現させたり、超必殺技ゲームが溜まりやすくしたり、HPが少ないほど防御力を高く設定したりして、絶体絶命の状態を長く保つようなシステムを導入して、緊張状態を維持する仕組みを用意する。

「緊張と緩和」
ボス戦などでは、ギリギリ死なない状態を維持することで緊張状態を与えるが、ザコ戦では基本的には余裕を与えつつ、ランダムに強敵を出現させたりすることで、緩和した状況でも頭の隅で警戒心を植え付けておくと、よりドキドキワクワクが演出でき、快楽指数を上げることができる。

⑥社会的相互作用

社会的相互作用

「強い社会的な結びつきがあること」
人は他人のフィードバックを受けたがる生き物であり、格付けに夢中になり、承認欲求を持ち、敵と仲間を遠くから見分ける生存本能が働く。
マッチングアプリは、直接的な快楽に結びつくツールとして爆発する。

「価値観の一緒の集団に所属する安心感」
同じ趣味の者同士を結び付ける核としてゲームは働きやすい。
映画や動画や漫画などは、一緒に見たりしても、個別の鑑賞に留まるが、ゲームは、一緒にプレイできる。
協力では共通の目的を持って一緒に助け合うし、承認欲求を満たせる。
対戦で格付けに夢中になったり、他人からの尊敬を集めることで承認欲求を満たせる。

ソーシャル縛りについては、マズロー心理学とともに、別の機会にまとめようと思う。

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