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任天堂・宮本茂のゲームデザイン

“新しく入った開発者でよくゲームを遊んできた人は、前に遊んだゲームをより豪華にしたものをつくろうとする”

“そうではなく、いろいろな身の回りのことから何をテレビゲームにしたらおもしろいかを組み立てていくのがゲームデザインだと説明している”

“どんなハードウェアや開発環境でゲームをつくるのか。自分がつくりたいものが本当に実現できるのかを考え、実現するために試行錯誤をするといったように、ゲームデザインとは設計だと説明している”

宮本茂

ファミ通の宮本茂が語るゲームデザインという記事を見ておもっちゃったこと。


宮本茂のゲームデザイン論

「前に遊んだゲームをより豪華にするわけではない」by宮本茂

“新しく入った開発者でよくゲームを遊んできた人は、前に遊んだゲームをより豪華にしたものをつくろうとする”

宮本茂

よくゲームを遊んできた人は、自分が好きなゲームやヒットゲームを、そのまま豪華に作りなおそうとする。そういう人はたくさんいる。
それを否定するわけではないが、それでは元を超えられない。

ヒットゲームのガワ替えはリスクが少ない

ヒットゲームのガワ替えやIP載せで豪華にするのは、リスクが少ないので、どうしても、そうなってしまう。
普通の会社では、そうなってしまう。

任天堂には既存のゲームをマネできない理由がある

だが、任天堂は、目先の利益を求めても儲からないビジネス。
任天堂は自社のハードを売って、他の会社が参入して儲けるポータルサービスで時代を作ってきた。アップルやGoogleがお手本にしたサービス形態だ。
任天堂は自社のハードで、他のハードではできない、こんなゲームができるという所で勝負しているから、他のハードでもできることをしたらポータルサービスが破綻するのだ。
だから、他とは違う商品を作り続けることが必須となる。

「まんがからまんがを学ぶな」by手塚治虫

デビュー前に手塚治虫先生から「まんがからまんがを学ぶな。一流の音楽を聴きなさい、一流の映画を観なさい、本を読みなさい」と言われた言葉を実践していました。

赤塚不二夫

その業種以外からのインプットが大事だという教え

漫画の神様「手塚治虫」も言っていたが、その業種以外のものから積極的にインプットしないとダメってことを宮本茂は言いたいのだろう。

手塚治虫や宮本茂の時代は、世の中に漫画やアニメ、ゲームの型が存在しなかった時代。その時代は、他所から色んな物をインプットしていた。

漫画やゲームがある時代に生まれた俺たちは、先人の作った型に囚われて、狭い世界で考えがちだ。
スーパーファミコン時代にゲームの型は作られてしまったので、そこからはアイデアの出がらしを再構築する時代になり、ガワ替え全盛のスマホ時代を経てノウハウや教育機会は失われ、今は、中国などのゲーム新興国やインディーに新しいモノづくりの主導権は移りかけている。

任天堂は、最後の砦として何とか持ちこたえてくれている。

インプットはアウトプットするためには何より大事

俺も「インプットの重要性」に激しく同意する。
何かをひねり出すためには「世界を良く観てインプットする」のが重要なのだ。

新人教育でも、そのことは結構時間を使って教える。

宮本茂は一言でそれを教えている。素晴らしい。


「身の回りのことから組み立てていくのがゲームデザイン」by宮本茂

“いろいろな身の回りのことから何をテレビゲームにしたらおもしろいかを組み立てていくのがゲームデザインだと説明している”

宮本茂

アリの行列からピクミンを発想したり、キングコングからドンキーコングを発想したり、基本思想は、ゲーム以外のジャンルで面白いと思ったものをガッチャンコ。マリオの夢のような世界でキノコや亀と戦うのも70年代のサイケでドラッグな夢の世界から持ってきて世界中を虜にした。

「他所から持ってきてガッチャンコ」という思想には大きく共感できる。
二番手の法則の組み合わせの術にも通じる概念だが、「宮本茂の教え」は、「現実世界を積極的に取り入れ試行錯誤する」という点が決定的にちがう。

二番手の奥義「組み合わせの術」で全てをガッチャンコ

最初に配属された対戦格闘の続編やIPものを開発する部署で、当時は、まだまだ、弱小だったからこそ生まれた「二番手の法則」を教えてもらえたのも幸運だった。
既存のゲームの再構築は、ゲームを深くやってなかった俺には、ゲームについて余りにも無知で無能だった分、最高のインプットだったのかもしれない。

もちろん、現実世界からのインプットも血肉となっている。

「ドラえもんもガッチャンコして生まれた」by藤子F不二夫

(アシモフのエッセイ集に)独創力のための条件として、「①数多くの断片を持つこと」「②その断片を組み合わせる能力を持つこと」などが挙げられているのです。(中略)1つ1つをとってみれば、誰もが知っている断片を組み合わせることによって、この作品(のび太の恐竜)は成り立っているのです。

まんがというものを分解してみますと、結局は小さな断片の寄せ集めなんですね。(中略)頭の中にしまいこまれている断片の集団を、あれこれいじくりまわして、あれが使えそう、これが使えそう、と組み合わせたり捨てたり組み立て直したり……。そういう作業の結果、1つのアイディアがまとまってくるのです。(中略)おもしろい断片を数多く持っていたほうが勝ち34、ということになるわけです。

藤子F不二夫

こうして、数多くの断片を持ち、断片を組み合わせ、分解、再構築してアイデアが形になっていく。それをさらにブラッシュアップしていくのだ。

こうして、「赤ちゃん人形」+「猫」+「魔法の壺」+「夏への扉」をガッチャンコしてドラえもんが作られた。


「ゲームデザインとは設計だ」by宮本茂

“どんなハードウェアや開発環境でゲームをつくるのか。自分がつくりたいものが本当に実現できるのかを考え、実現するために試行錯誤をするといったように、ゲームデザインとは設計だと説明している”

宮本茂

ハードの性能を限界まで引き出し、作りたいゲームを実現するために試行錯誤できる環境にあって時間をもらえるのは素晴らしい。
ポケモンを7年かけて作ったって逸話がリアルに証明している。

メトロイドみたいに、時間をかけて開発したが中止にしたものとか、市場に出てくるまでに試作は無数にあったのだろう。
普通の会社では倒産してしまうが、それだから任天堂品質が保証され、ハードを特別なものにし、ポータルビジネスが成り立つのだ。

インディー開発なら、こんな作り方もできるかもしれない。

インディー開発なら、予算はないが、自分で試行錯誤する時間は持てる。
俺も、プログラムを一から学びなおしながら、クライアントやチームや会社の意向とは別の形で作ったらどうなるかの実験を色々している。

ビジネスではなく趣味としてやってるので、飽きなければ、無限にできそうな気がするし、今なら、リリースせずとも、できたものをSNSで発信することも可能だ。


宮本茂の「仕事とヒット論」

できれば仕事をせずに済む方が楽しく過ごせるのにと思うので、仕事をするならいかに効率よく仕事をするか、同じ仕事をするならヒットさせた方が次の仕事がしやすくなるので、どうすればもっとヒットさせられるのだろう、といったことを普段から考えています。毎年の講義では、そうしたクリエイティブの悩みについても話をしています。

宮本茂

「ヒットさせた方が次の仕事がしやすくなる」by宮本茂

仕事を楽にするために、ヒットのことは常に考えている。
それは本当に同感だ。

ヒットさせれば次があるし、ヒットさせたら裁量権を増える。
裁量権が増えれば仕事がしやすくなり、独立して更に修羅の道を選ばなくてすむ。

合理的だ。合理的だよ。

最後まで立っている方が勝ち

ヒット作を作っても独立して大変な思いをする人は多い。
その中で、任天堂が良い時も悪い時も立ち続けて、今も現役でヒットを生み出そうとして生み出している所は凄い。
そこでも無から有を作り出すのではなく、組み合わせで作っているという所をハッキリと言ってくれるところが凄い。

ヒットさせるには特殊な技術、才能は必要なく、誰でもできるという宣言だから。

「地頭」とか「才能」とか「01」とかで煙にまく偽物ではなく、インプットして組み合わせさえすれば、訓練でできることを教えてくれるということだ。

俺のような馬鹿で無能なものでも、訓練次第でなんとかなるってこと。

ここに、宮本茂への最大限のリスペクトを送り、言葉を残してくれることに感謝します。

彼のノウハウもロストテクノロジーにならないように残せたらいいなあ。

彼の弟子たちによって、それはなされるのか、それとも自分の手で残すのか分からないが、俺も彼の作品から外野として学んだことを残して行こうと思う。

「任天堂の倒し方、知ってますよ」byグリー

「任天堂の倒し方分かりました!」と、アイデアを思いつくたびに、恩師の前で言う。今でもだ。
普段、鉄拳な武闘派な恩師はバカな孫弟子を見る優しい目で「俺が恥ずかしいから外では言うなよ」と言ってマジな目で見返した。

恩師よ、任天堂の倒し方が分かるように、今後も努力します!
二番手の法則は、いつか、一番になるためにあるのだ!それでイイのだ!
2位じゃダメなんです!てっぺん以外は全部一緒なんです!

勝負にならんのは分かってるけどね。。。

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