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noteの街のセラピー犬。#218【司書編】読書感想文「あなたのnote記事にキャッチ概念、おひとりさまが使われていますよ」
ある夏の朝、ラジオ番組のナビゲーターが澤田智洋さんでした。
コピーライター/世界ゆるスポーツ協会を設立された方です。
「ゆるスポーツ」
当時、このキャッチコピーは、よくできているなあと興味深く思いました。
「これも何かのご縁ですから、著作物を読んでみよう」と図書館へ予約しました。
『マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう』
澤田智洋 著
ライツ社
【感想】
澤田さんは、広告会社で華やかなクリエイティブ職に従事していましたが、息子さんが生まれてから、転機が訪れたそうです。
息子さんが、生後3か月の時に、視覚障害があると告げられ、自分がいくら美しいCMをつくったとしても、息子には見ることができないと、自分自身「からっぽ」の状態になったそうです。
私は、物心がついた頃から「キャッチコピーをつくる人はどんな人なのかな」「パッと目を引く言葉で、短い言葉で、良いイメージが伝わるなんて、すごいなあ」と思う反面、キャッチコピーは、あまり好きではありませんでした。なぜなら、その言葉によって、人の行動が変わり、購買につながるからです。
商品は、その本質を見抜いて、納得して買うものではないのか?
知らない人の言葉に踊らされて物を買うとは、どうなのか?
私は、そちらの思いが強く、素晴らし過ぎるキャッチコピーの商品でも、すぐには、手を出さずに指をくわえて見ているタイプでした。本当は欲しいものもありましたが、天邪鬼でもあったようです。
さらに、殆どのキャッチコピーが短命に終わることも、私の性に合わないように感じました。期間やメディアが決まっていて、掲出されればお役御免。
なんとも使い捨てですか?
ライターさんが死に物狂いで生んだ数々のキャッチコピーなのに…。
もっと、大切にしなくていいんですか?
若い頃の私は、正義感に溢れていました。と、いうより、そんなことを考えている消費者はいませんよね。
澤田さんは、コピーライターでですが、実はもうキャッチコピーを作っていないそうです。
キャッチコピーならぬ、「キャッチ概念」をつくろう
キャッチ概念は「息の長さ」を目指したものです。
この世の中に物事や事象としてすでに存在しているけど、だれにも言語化されないでいる。それを忘れがたい言葉で表現したもの。
たとえば、「おひとりさま」も「イクメン」もキャッチ概念と言えます。
言葉によって可視化されることで、多くの人が「ああ、なるほど!」「確かに最近、そういう人が増えてきたよね!」と気づく。するとそれは、だれでも使える概念となり、行動まで変わっていく。その言葉の上を、人や情報や、ときにお金も流れていく。
つまり、キャッチ概念というのは「社会のインフラ」なんです。
発明してから5年が経った今もなお広がっている「ゆるスポーツ」もまた、キャッチ概念の1つです。
キャッチ概念。
今回、私が影響を受けた概念です。
澤田さんのご意見に同感です。
noteの街でも、キャッチ概念が広がっているような気がします。
色々な方々の記事へお邪魔させて頂くと、記事の内容はもちろん面白いです。加えて、コメント欄を覗かせてもらうと、「キャッチ概念」を感じるクリエイターさんもいます。
いますよね。
そうです。
そうです!
澤田さんの本を読んでそう思いました。
これからは、記事を読んだ際、「キャッチ概念ですね」というコメントを是非使ってみたいです。
クオリティーの高いnoteの世界だからこそ、キャッチ概念が生まれる。
note、凄いです。
本日も記事を読んで頂き誠にありがとうございました。