口紅の色名:カンパリオレンジ
オレンジ色の口紅があと少しとなり、新しいオレンジ色を探した。
以前にも書いたが、若い頃にイタリアの女優に憧れて、オレンジ色の口紅がに合う大人になりたいと思っていた。
オレンジと言っても色々で、バーミリオン、オータムリーフ、マリーゴールド、アプリコット。
それに、橙、蜜柑、柿色、赤朽葉、黄丹、金茶・・・という和名のもの。
有名なエルメス・オレンジのように鮮やかなものまで。
でも、私に似合うのは、明るめで濃い目で少し茶色系である。
肌に合う口紅の色を探すというのは、結構難しい。
だから、気に入っていた色がシーズンにより変わったり、廃盤になってしまったりして、悲しい気持ちになることは何度もあった。
それに、年齢により、肌に合う色味も若干変わってくる。
少しの違いが、顔に乗せると大きく違う印象になる気がする。
『カンパリオレンジ』という色名の口紅を見つけた。
色名だけで、好きになってしまった。
夏の夕暮れに、海を眺めながら気楽に飲むのが好きなカンパリオレンジ。
カンパリとオレンジジュースが混ざり合って、オレンジ過ぎず、カンパリ色過ぎず、ちょうど氷の下くらいの色。
カンパリの赤が混ざると、少し渋さが出て茶色味が出ている感じ。
水彩絵具の筆洗の中で、わざわざ色を混ぜて遊んだ子どもの頃のような楽しさを感じながら、いざ塗ってみると理想にピッタリだ。
黄色と赤。
例えばパッケージを印刷する時、掛け合わせで出そうとすると色出しに苦労するオレンジ色。
最初からカラーチップで特色扱いで一色プラスする。
その一色も使いながら美しく仕上げていく。
「一色プラスで」という言葉も、なんとも豊かな感じのいい響きだ。
帽子を被り、サマードレスを着るような夏が似合いそうだけれども、焦茶に合わせたりすれば温かみも感じさせる色である。
カンパリオレンジという色名に抜群のセンスを感じる。
それに、小さい女の子が大切に、魔法の宝物のように握りしめるリップクリームの、この形態。
「いいもの見〜つけた!」
と、子どものような高揚感を得た。