すべてはデッサンからはじまる
上記の写真は、今年、虎ノ門ヒルズで開催していたティファニーワンダー展に行った時のもの。
「鉛筆なしでは何も生まれません。
すべてはデッサンからはじまるのです。」
この言葉が、頭上に現れては消えていた。
煌びやかな宝石たちも、すべて撮影は自由だった。
多くの女の子が憧れるように、私も「ティファニーで朝食を」を何度も見て過ごしている子どもだった。
私は、どちらかというとローレン・バコールのようなクールな感じの俳優が好きだったけれど、オードリー・ヘプバーンの演じるホリー・ゴライトリーは特別素敵に見えていた。
最初のシーンの、シックな後ろ姿から。
私が初めてニューヨークに行ったのは、20代半ばだった。
夏だった。
その時、ニューヨークへの直行便がエンジントラブルを起こし、なぜかアンカレッジ経由になってしまったのを思い出す。
アラスカで白夜を味わって、再び、ニューヨークまでの便に乗った。
後で、その飛行機は成田空港で燃えていたっけ。
ニューヨークでは、生意気にティファニーにも出向いた。
ここが!
と胸が高鳴ったけれど、若い私に買えたのはシルバーのリボン型の指輪とボールペンだった。
でも私は、ホリーの指輪がお菓子のおまけだったことを知っている。
お店では、本当に親切な接客を受けたのを覚えている。
数々の芸術的な宝飾品が並んでいたが、私の目を捉えたのは、このピンクだ。
そして、巻貝のデッサンと作品。
何かにつけて巻貝に惹かれる私は、しばらくこの前で立ち止まっていた。
子供の頃から、巻貝の中に、何か秘密の世界があるような気がするのだ。
だから、巻貝に耳を傾けるのだろうと信じていた。
「海の音が聞こえる」と教わったけれど、それだけではない気がした。
海潮音・・・遠くから打ち寄せる波の音。
ひたひたと寄せてくる潮の響きが聞こえるとして、それ以上の浪漫がある。
この巻貝は宝石でできた特別な巻貝に思えた。
アイデアが描かれているノートが展示されていた。
全部見たい・・・。
イメージを形にするために、頭の中を描き写しているノート。
すべてはデッサンからはじまるのです・・・という言葉を頭で繰り返してみた。
どんなにいろいろな技術が進んでも、人間らしく、エモーショナルな線を描けることの素晴らしさを思う。
鉛筆で。
デッサンとは、フランス語で「線を引く」という意味である。
形や光をとらえて基礎画力を身につけるために学んだ経験がある。
美大・藝大の必須科目でもある。
重要なのは、「対象の本質をとらえる」ということ。
モチーフの構造を理解すると同時に、どんな背景をかかえているのかも想像できれば素晴らしい。
こんなふうに、おしゃべりしそうな作品も、美しく計算された(あくまでも頭の中で)線で出来ている。
今は、いろいろなことがAIでできてしまうけれど・・・。
今までなかったものを想像することが人間にはできるのに、今なぜ戦争が起きているのだろう。
ジョン・レノンが亡くなったセントラルパーク内のストロベリーフィールズにも行った。
IMAGINE と書かれている。
この記事が参加している募集
書くこと、描くことを続けていきたいと思います。