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折形(おりがた)

「折形」は、物やお金を贈るときに
紙で折り包むそのやり方。
礼の心を形に表したもので、
世界でも類を見ない日本だけのものです。
六〇〇年もの歴史があり、
武家の間に伝えられてきました。
現代の暮らしにも教えられることの多い
行動美学の一つです。

山根一城さんの「折形レッスン」という本を、改めて開いてみた。
いつもの年末年始は何かと忙しく、凝ったことはできなかったが、今年はこういうものを見直すにはいい機会かも知れない。

一枚の紙で潔く・・・。
そして、仕上がりの形にも意味があるのだという。
折り方や紙の種類で、TPOにも対応する折形は日本古来のものである。


白が好きな私は、以下の文章に惹かれた。
白の紙を使うのが最上級であるという文章である。
白は、太陽の光を象徴するのだと知った。

白の紙を使うのが最上級。
太陽の光を象徴する、最も清らかで貴いとされた色だから。

純白の紙は太陽の白い光を象徴し、高貴で清浄であることを意味します。
したがって改まった場合での折形は白の紙を使うのが原則です。古来より食物の下には柏などの葉を敷いて清浄、抗菌を目的としてきました。これがかいしきです。
後に清浄を意味する白い紙もかいしきとして使われるようになりました。箸置きなど食卓の飾りとしての折形や食品を包むときにも白い紙がふさわしいでしょう。


「折形 かいしき」として、懐紙を使ったお菓子の包み方などが載っている。

折形の種類はたくさんあり、
それぞれに折り方の図と、完成した写真が載っているのだが、

白い和紙に水引が結ばれていたり、懐紙が綺麗に折られた中に少しだけ中身が透けて見えているなど、美しい。

この本に載っている、包み方はこちら。

糸包み、内包み(紙幣縦づかい、紙幣横づかい)、扇包み、かいしき、勝栗包み、貨幣包み、きな粉包み、木の花包み、草花包み、薬包み、慶事紙幣包み、月謝包み、粉包み、ごま包み、残菓包み、色紙包み、贈進紙幣包み、大豆包み、鷹の羽包み、茶缶包み(シャンパーニュ用、リキュールの小瓶用)、茶杓包み、弔事紙幣包み(紙幣縦づかい、紙幣づかい)、手ぬぐい包み、箸包み、袱紗包み、万葉包み(真・チョコレート詰め合わせ用、草・板チョコ用、草・自家製焼き菓子用、草・本用)、略式紙幣包み(紙幣縦づかい、紙幣三つ折り、写真用、チケット用、ピアス用、ヘアピン用)略式贈進紙幣包み、料紙包み


このような包み方を熟知していて、細長く白い指で折られるのを見たら、とても日本的で美しい映像になりそうだ。
日本的なエレガントさ。

着物の袖口の色と、白い和紙、赤と金や銀の水引を想像してみる。

日本古来のものには、繊細で清らかな所作が似合う。


また、この本の中には、使用する和紙の種類についても詳しく記載されている。
最も位の高い人には、檀紙。
次に続く紙として現在入手しやすいものに、もみ紙、奉書紙、奉書紙の一種でやや薄いのり入れや肌吉紙、半紙が紹介されている。
和紙のテクスチャーには、確かに品格を感じさせるものがあるような気がする。

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かいしきなどの小判の紙、四方や一辺が赤く縁取られた紙、懐紙や小菊紙などは、気軽な包みに使えると書いてあり、また、色のついた和紙でお花を包んだ写真があるが、それもモダンさが上手に溶け合って洒落ている。

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もてなされたお菓子を残してしまったら懐紙に包んで持ち帰ったり、主が半紙に包んでお客様に渡したり・・・。感謝や思いやりから生まれる行動です。

さりげない思いやりというのは、日本人にとても似合うものだな、と思う。

少しずつでも折形がわかってくれば
そして紙さえ手元にあれば
思いやりを
さっと形にできます。

この本の中のいくつかを、この年末年始に身につけたいと思った。

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ちなみに、折り紙は、江戸時代に「折り紙礼法」と呼ばれていた装飾用折形の一部が一般庶民の間に急速に広まり、様々な造形を折って楽しむ、礼法からはずれた遊戯として普及したものだそうだ。

書くこと、描くことを続けていきたいと思います。