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ヴァン ゴッホ カフェ
『ヴァン ゴッホ カフェ』は、不思議な読後感の本だ。
って!何?
まるで夢のような、ミステリーのような、すばらしい油画のようなカフェ?
その視点が面白いと思った。
カフェには魔法がある。
このカフェは、マークとクララという親子が営んでいる。
クララの母は、この場所を嫌ってNYにいるという。
パイののっている回転皿の上にとまってわらっている磁器のメンドリ。
魔法はそこからも来ます。女性用トイレの壁に描かれているむらさき色のあじさいからも、「おかえり、ここはきみの家」と歌う、小さな茶色のプレイヤーからも。
ここに訪れるお客さんとのやりとりの中で、色々な話が展開していく。
最後に作家志望の男が来る。
そこにすわっているうちに、ヴァン・ゴッホ・カフェの壁にしみこんでいる魔法が彼のうちではたらきはじめました。彼は自分がどういう人間か。どういうものをうつくしいと感じているかを思いだしました。
ぼくはほんとうは作家なんだ。電話番号簿の配達なんかしているひまはないはずだ。ダイエットの本なんか書いてはいけないのだ。このカフェが名前をもらった画家は、一生にたった一枚の絵しか売ることができなかったという。ぼくの胸のうちには、一冊の本がある。それになんという題をつけたらいいか、ぼくにはまだわかっていないが。さあ、このカフェを出てオレゴン州にむかおう。
そして、その本のあたらしい題は・・・。
読んでのお楽しみ!
それにしても、壁にしみこんでいる魔法という表現はいいなぁ、と思った。
このカフェが醸し出す雰囲気を想像させる。
そして、どういうものをうつくしいと感じているかを思い出す、という場面は、私にもあったように思う。
何かに触発されて、ふと「そうだった」と思うような瞬間が。
そして、そこで行動をするのか?しないのか?
人生一度きり。
本当にやりたいことを突き詰めようと思う時に、一生にたった一枚の絵しか売ることができなかったゴッホが出てくる。
すばらしい油画のようなカフェ。
このカフェを表現するのに油画が出てくるということは、こっくりとした濃密な空気なのだけれど、そこには温かさがあるような、そんな想像をした。
絵から感じさせる空気という、新しい世界観を教えてもらった。
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