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柿とジャム漏斗
柿は綺麗だ。
艶やかに煮ることができると、嬉しくなる。
お菓子の会社のパッケージデザインをしていた頃、『シズル感』なる言葉が使われていた。
瑞々しさ。
目にした瞬間に、五感を刺激するような感覚。
食べたい!と思わせるアイスクリームや果物の写真を、スタジオで立ち会って撮影してもらうのだった。
果物を煮ている時、砂糖が溶け出すと思うのだ。
リップグロスを塗った唇のように、ぽってり。
いいな。
自然の色だから、果物の赤も、ピンクも、オレンジも綺麗。
形がホロリと崩れる前のお鍋を、子供のように覗いて、混ぜているのが好きだ。
そして、私のなくてはならない相棒、ジャム漏斗が登場する。
煮沸した瓶にさして、トロリと煮えた果物を流し込む時に、なんとも良い香りが漂う。
湯気が、ふはー!と息をしているようだ。
そして、その湯気ごと瓶に閉じ込めて、再び開ける時を想う。
ある日の柿は、とことん火を通して、ペーストになった。
合わせるのは、生クリームか、クリームチーズか?
ビスケットなのか、クラッカーなのか・・・。
ケーキに混ぜ込むのか?
さてさて。
ジャム漏斗は、
「ペーストにしちゃうなら、私は必要ありませんね。」
と拗ねて転がっている。
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